出会ったのは去年の冬ごろ。駅近くにオープンしたドラッグストアは仕事帰りにも空いているので、納豆や豆腐なんかを買いに週1〜2回利用するようになった。ちょうど私のシフトと被っているようで、いつ行ってもそのかわいい店員さんはいた。
気だるげなレジ打ち、触覚、ぱっつん前髪。特に会話が発生することはなかったが、きっと彼女も私を認識していると思う。
多分私と同い歳ぐらいだろう。大学生か専門学生かな。私はあんなふうにかわいいタイプではないから、ああかわいくて夜に働いていると面倒な人に目をつけられたりしないかとちょっと心配に思う。
とストーカーの心理みたいだが、まあこちらも同い年くらいの女なので許してほしい
その店員さんを引かせてしまった。知り合いと会うわけではないバイト帰りで暑く油断していた。夏でもつねに七分袖をきているが、うっかり腕を捲っていた。みえていたのである。わたしのアームカットの跡が。
もう3年ほど前のものだし、そう生々しいわけではないめだたないものだ。全面にびっしりというわけでもないささやかなものだし。とはいえ会員カードをだしたときにばっちり彼女から見える角度だった。そして店員さんは挙動不審になりレジ袋を買ったのに入れ忘れてしまった。
申し訳なかった。そう痛々しいものではないとはいえ愉快ではないし、私はかわいい店員さんのようにかわいくはなく、メンヘラっぽい見た目でもない(と思う)からびっくりしただろう。
話は少しずれるが、私もバイトで接客をしている。夏になるとやっぱり時々リストカット全開のお客さんが来る。良いんだよね別にそれで。でも知り合いに見られて気を使われるのはとても申し訳ない。人それぞれ自傷には理由や原因があるが、やっぱり人を心配させたいわけではない。やったときは構ってほしかったという理由でも、赤みが引いて仕舞えば残るのは虚しさ。
普段なら店員さんや電車で隣になった人に見られてもすこし申し訳ないなとは思いつつ気にしないのだが、店員さんを驚かせてしまったことが悲しい。なによりこれから彼女と顔を合わせるたびきっと彼女は傷を思い浮かべるだろうから。
と言いつつも自己嫌悪ループでこれから新たな傷を作るというわけですね