自分はコミュ力は決して高い方ではない。生気の感じられない目をしながら通勤時間に前を歩く女性の尻の品評会をして過ごすのが日課だ。しかし結婚のことになると目の色が変わった。
「福満の嫁みたいな人と結婚がしたい」
これに尽きる。福満の嫁みたいな人と結婚がしたいということは、福満の嫁みたいな人と結婚がしたいということである。
自分には自信がない。だが自分の器に収まりきらないクソデカいプライドがある。
顔面が崩壊していなくて電車で隣の人に圧をかけるような体型でもなくて、そして福満の嫁みたいな女性と結婚がしたいのである。
自分のコミュ力は決して高い方ではないしむしろ低い方かもしれない。趣味に打ちこむ体力も無くなり、平日のアフターファイブはもちろん土日もTwitterに張り付く有様である。
Twitterは毒だ。行動力のある人、特別な技能のある人、ちんちんがついていない人が己の欲求を満たす場だ。
繰り返すが自分にはもう何かに打ちこむ体力はない。平日も休日もTwitterに入り浸り、流れてもいないTLを更新し、承認欲求を満たす神の投稿を指を咥えて見ることしか出来ない。
縋る先はマッチングアプリだ。
自分には自信がない。
福満の嫁と結婚したいのにも関わらず当たり障りのない話しかしないのだ。
自分はもっと趣味の話をしたい。休日何しているのかと聞かれて「朝から晩までゲームしたり、ラーメン食べに行ったり友達とうまい酒を飲みに行っています!」とドヤ顔で言いたいのだ。
だがそれが出来ない。
プライドで溢れかえっている器にヒビが入るのに耐えられないのだ。へーそうなんですね、それで?って興味のなさそうな返答をされるのがつらいのだ。
福満の嫁ならきっと「へーそうなんですね(なんかよくわからんけど楽しそうだからヨシ!)」ってニコニコしながら言うはずだし、自分が求めているのもそういう女性のはずだ。
「へへ…最近コロナで出かけられなくて…掃除したり洗濯したり、あとyoutubeでゲーム実況動画見てます笑」なんて本心でもないつまらない回答ではいくら福満の嫁でも飽きてしまうだろう。
というか福満の嫁みたいな人って婚活市場に来る前になんだかんだで結婚できてそうw
おわり