みんなてんやわんやだった。
みんな不安だったし、若い女性が多い店だからいさかいも起きる。
Mさんは、問題が起こった時に、いつも相談役として店に赴く。60代の男性からしたら、ため息をつきたくなるような、女子同士の諍い、ゴチャゴチャの間に入る。話を聞いてあげる。
「いつでも電話していいよ」
そう言って、電話番号を渡す。
私も、コロナ関係で何をネットにあげるべきか否かのところで、会社の人とぶつかってしまったので、何度か電話した。
最初の方は、色々辛い事があったから、私が頼って何度も電話してしまったと思う。
Mさんが、Mさんの話を聞いてくれと、電話がかかってくる事が増えた。
Mさんは、会社の人のレベルが低すぎることをいつも嘆いていた。そして、問題児の役員にも頭を痛めていた。
「こんなこと言えるの、増田さんだけだよ」
そう言って、私には会社の経営状態、人事、社員のプライベートまで全部話してしまう。社員が「Mさんだから」と相談して話した内容が、私に筒抜けになってる。
「俺と組んで会社を変えていかなきゃならないから、増田さんには情報を流す」
私と組んで会社を変える?私に何が出来るんだろうか。
「〇〇店のSさんとUさんがこのような内容でケンカした。これは増田さんのお耳に入れたくて」
私のお耳に入れて、どうするんだろう。
私はの仕事はテレワーク。家で仕事してるから、Mさんとずっと話していても、会社の人からは分からない。偉い人だから、「仕事やらなくちゃいけないので」と切りづらい。
そのうち、話に下ネタが入るようになってきた。
そして昔、世界中の女を抱いた話をしてくる。アンダーグラウンドな店で体験した事を話してくる。
正直言う。キツイ。
助けてくれ、と思う事がある。
確かに、会社の経営状態や、次考えている一手を一足先に聞けるのは面白い。
しかし、くだらない人間関係のいざこざや、下ネタ、昔いかにモテてたかなんて話は、もう聞きたくなどない。
Mさんにとっての私の役割って、ホステスなんだろうなぁって思う。奥さんとは別居してて、「俺は一匹狼」を自称してるけど、やっぱり寂しいんじゃん。
でももう、最近は30分くらいは話聞いたら、「仕事やらなくちゃいけないんで」とか、ちゃんと言って切るようになった。
他の人にもやってて、増田の情報もだだ漏れっぽそう