2020-06-24

アルテを見終わる

アルテは恋愛というテーマ最初配当することで二元的な要素を多重化している。他には画業の習熟と未熟、貴族平民恋愛師弟愛という三つの二元テーマ最初から盛り込むことができている。多重的な二元対立要素は二元という単純化やす構造を複雑化、あるいは解決困難にしてしまうためドラマと相性が良い。例えば恋愛師匠愛というテーマと、画業の習熟は早くから対立概念になる。アルテは師匠から恋愛に現を抜かしていることは知られないものの、仕事に集中できていないとして叱られる。テーマ外ではフィレンツェヴェネツィア二元を持ち出し、帰るべきか帰らざるべきかという二元で更に事態葛藤に導く。ここでは師匠収入の二つが天秤にかけられている。お得様の高級娼婦とアルテの関係では、高級娼婦生き方に対する尊敬顧客を袖にする娼婦特性に対する怒りとして葛藤表現される。

アルテの葛藤ヴェネツィアでも続いている。ここでは家庭教師仕事に就き、こまっしゃくれた子供の面倒を見る。この子自体が育ての親と実の親との間で二元対立軸を持っており、アルテ自身もこの娘と葛藤しつつ融和する。さらにこの娘の両親は意見の相違で特に奥方葛藤しており、最終話付近奥方と娘も融和を見せる。こうしたドラマの中でアルテは貴族出身者という言い回しを久しぶりに聞いて、技術的な面をアップデートしようとして葛藤した挙げ句倒れてしまう。

見ての通りしつこいほど葛藤二元対立入れ子構造を使っている。

しかし、感想という話なら「普通でした」という感想

至って普通のことを丁寧にやってゆくと上の内容になる。

でも裏側では割としつこいことやってるなと。

ただこれ、対立軸だけじゃなく画家独自通底する概念みたいなものだんだん分かってくるようになると更に面白かったと思うんだけど。いわゆる一芸は全てに通じる的な。

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