2020-01-06

見知らぬ赤ちゃんに人見知りした

帰省を終えて実家から家に戻るために空港へ向かう電車に乗っていたら、隣の席に同じく帰省明けらしい大きな荷物を携えた若い夫婦と、そのお父様の腕に大事そうに抱えられた小さな赤ちゃんがいた。

赤ちゃんは周りの色とりどりのキャリーバッグや外国から観光客らしき集団年末年始電車内装がどれもこれも気になって仕方ないのか、忙しなくきょろきょろしていた。

その内抱っこ係がお父様から、私の隣に座るお母様に変わった。

お母様の腕に抱かれてから赤ちゃんの興味は今度は私に注がれたらしい。めちゃくちゃこちらを凝視してくる。私は冷や汗を掻いた。

横を向いた。バッチリ目が合った。赤ちゃんと。


赤ちゃんは好きだ。何しろ可愛い。間近で見た頬っぺはふっくらしてて生クリーム大福みたいで愛おしい。あと、お目目が大きい。こぼれ落ちそうだ。やはり人類繁殖プログラムとして赤ちゃん可愛い、守りたいと思わせられるよう遺伝子に組み込まれているのだろうと実感させられる。

しかし私は赤ちゃんと密接に関わった経験がない。子供を産んだ経験も無いし、弟はいるけど年が近いので彼が赤ちゃんだった時の記憶が無い。

なのでこういう時、電車内でたまたま隣り合った見知らぬご家庭の赤ちゃんと、どうコミュニケーションを取ればいいのかわからない。下手に話しかけたり触ったりして泣かせてみろ。その瞬間私は電車内において人権喪失する。

ようは私は赤ちゃんに対して人見知りをした。

一方赤ちゃんは私の金髪が珍しいのかしきりに手を伸ばし、そして人見知りをしてもじもじする私に向けて、まるで気さくに声をかけるように「ま!」と声を上げた。可愛い

察された。気を遣われてしまった。この20歳以上歳の離れてる新生児に。

お母様が、私と赤ちゃんのその言葉無き逡巡に気づいて、「すみません」と微笑んだ。私は狼狽えながらもつれる口で「い、いえ、だ、大丈夫、です」と言った。

赤ちゃんだけではなく大人相手でも普通に人見知りをした。

可愛いですね。何歳ですか?」

「8ヶ月なんです」

「これからお帰りですか?」

「ええ、〇〇まで。飛行機に乗るんです」

「そうなんですか。赤ちゃんだと飛行機大変ですね」

「そうなんですよ。ちーちゃん飛行機でも頑張れるよね〜?」

降りる時に赤ちゃん握手させてもらい、優しいご夫婦会釈して、それから赤ちゃんに手を振った。小さな手にはそれでもしっかりと爪が生え揃っていて、赤ちゃんはすごいなあと思った。

明日からまた一人暮らしに戻らなければいけないことでナイーブになっていたが、なんとなく解消された気がする。

  • 自分が子供を持つまで赤ちゃんとは関わりがない方が世の中の圧倒的多数派じゃない?

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