私が囲碁を学んだ過程を基に、どのようにして最低限囲碁を成り立たせれるレベルにまで向かうのかを書いてみたい。
囲碁はルールと実際の対局での手筋の間に、深くて暗い谷があるのではないかと思う。
ルールをどれだけ読んだとしても、対局時にどのような手を打つべきかを、ルールは論理的に教えてくれない。
なのでルールを知っているのは前提だけれども、わからないなりに対局をこなすしかないような気がする。
うちではじいちゃんに教えてもらったのだけれど(正確にはじいちゃんが撮りためたNHKの囲碁番組ビデオでルールを学んだ)
じいちゃんはルールや定石などについては何も教えず、ただただ「対局しよう」とだけ言って、私はわけわからんなりに囲碁を打っていた。
たまに「それはいい手やな」と言ってくれるのが嬉しかったのはよく覚えている。
囲碁では置いた石でより多くの陣地を囲むことが必要だが、交互に同じ数の手を打っていく以上
より広い陣地をより手を抜いて確保することが必要になる。
ルールとしては単純な話ではあるが(常人では)ルールの延長からどのような手をうつべきか知ることはとても難しく、
試行錯誤の末にあの手はよかった、あれはまずかったと身をもって知ることがまず最初の一歩ではないかと思う。
例えば走り幅跳びの飛距離を伸ばしたいとしても、物理法則から足の動かし方を考えることはしないだろう。それと同じ話。
陣地をより少ない手で確保するため手を抜くことも大切なのだが、囲碁は対戦競技であり相手を攻撃することができる。
(相手の石を全て囲うことで、石を取ることができる)
数が多ければいい、というわけではないが、基本的には数の多さは強さに繋がる。(石の厚み、というのはこの強さに関係している)
うまく手を抜くことで、石は広い範囲を覆うことができるが、手を抜いた石は弱い。
下手をすると、手を抜いた石は相手の攻撃に耐えきれず、すべて相手に奪われてしまう。
囲碁をより広い家を建てたものが勝利するゲームと考えると、プレイヤーが序盤で外壁の塗装に手数をかけることは良い戦略ではなく、
まずは空き地に家の基礎となる柱を立てて家の骨格を築いていくべきだろう。囲碁は碁盤という限られたスペースで戦う。
あなたが1軒の家の外壁を固めている間に、相手が3軒分の基礎を固めてしまっているならば、もうそこで勝負はもう決まっているだろう。
どこまで手を抜けるか?というさじ加減が重要で結局は実践の中でしか身につかないのかと思う。
その強さが話題になったAIが強いのも、結局膨大なトライエラーを経ているから。
これらの勘所をまとめたものが「定石」と呼ばれる。どのように打つことが効率的であるかは、すでにある程度定型化されている。
囲碁のとっかかりがつかめない人に向けて書いたつもりではあるが、何か分からないようなそんな記事になった。
また質問があれば答えたい。