自分には2歳年下の弟がいて、自分が小4、弟が小2のとき地元クラブのコーチの紹介でバレーボールを始めた。
バレーを始めた当時の自分は背が小さく弟は比較的大柄だったため、年の差はあったが体格はほぼ同じだった。
そしてもともと運動が得意だった弟は自分とほぼ同じ時期に同じ技術を覚え成長していった。
数ヶ月後の新人チームの大会で選手に選ばれたのは弟の方だった。
監督曰く「同じ能力を持つ2人であれば、若い方を選んで経験を積ませたほうがチームのためになる」とのことで、当時はそういう判断なのだと納得した。
その大会はそこそこの結果で終わったのだけど、その後、弟は同年代のチームメイトに恵まれて何度もの県大会優勝を経験し、優秀選抜に選ばれる。
弟が華々しい結果を残していることで家庭での話題も「今日の試合はどうだった」とか「今週末はどこまで遠征に行く」とかバレーの話題が中心になっていく。
一方の私は地区大会で敗退することが常で、県大会に行ったのは地元開催で全チームが出場できるようなときだけだった。
それでもバレーを続けていたのは今考えるといい結果を残してなんとか家族の話題に上がりたいっていう気持ちが大きかったのだと思う。
モチベーションは何であれ全力で練習をやっていくと、上手くなりたい、勝ちたい、と思うようになり、だんだんバレー自体も好きになっていった。
しかし練習の成果も実らず「このまま弟と同じことをしていてもしょうがない」と感じた自分は、高校最後の大会を待たずして部活を辞め、勉強に専念することにした。
今思うと好きな部活を辞めてまで勉強に専念する必要はなかったと思うが、やっぱりそれくらいのことをして、親の気を引きたかったのだと思う。
一方の弟は社会人になってもバレーを続け、地元のチームの指導もしていることで、実家に帰ったときの話題の中心は弟の話になる。
顔を合わせるのも盆と正月の年2回程度なのだけど、家族で食事をするときにいつもその話で持ちきりになっているときには、劣等感のようなものを感じてしまう。