20代も後半戦に差し掛かり、じわじわと友人の結婚式に呼ばれる回数が増えてきた。僕はというと残念ながらそんな予定は当分立ちそうにないのだが、高校時代や大学時代を共に過ごしてきた友人達がタキシードに着られて愛を誓ったりスピーチしたりしているところを見るとなんだかちょっと居心地が悪くなる一方で、ああ彼は我々を残して大人になったんだなあという尊敬の念も感じるのである。
はじめに断っておくが、僕は断じて結婚式が嫌いではない。むしろ結構好きだ。久しぶりに友人達と会ういい機会になるし、何よりお酒が飲み放題である。しかも飯も大抵美味しい。今まで出席した結婚式はだいたい飯が美味かった。
久しぶりに友人達で集まって美味しい飯を食べながら酒を牛のようにがぶがぶ飲む、この点においては結婚式は超楽しいのだ。
しかし、だ。
どんかに楽しい結婚式でも一瞬にしてテンションが地底深くまで落ちるイベントが中盤に控えている。
ファーストバイトだ。
僕はとにかくあの無駄にでけえスプーンが嫌いなのだ(調べたらビッグスプーンというそのままな名前がついていたが、以下MDS[無駄にでけえスプーン]と表記する)。
今まで出席した結婚式でかなりの確率でMDSが使われていたが、あれは一体どういう会話があって使われることになったのかが理解できない。
学生時代に同じことでケタケタ笑ってた友人達が、なぜMDSを使うことを面白いと思って決断したのかが理解できない。
人は結婚を機に通常より大きいスプーンを使って口の周りを汚すことを面白いと感じるようにでもなるのだろうか。あるいは通常料金だとMDSになり、普通のスプーンを使いたければ10万円ぐらいのオプション料金がかかるのだろうか。それだったら確かに納得がいく。
まあ結局のところだいたいが新婦の趣味なんだろう。一度ファーストバイト中の新郎と目が合ったことがある。俺だってこんなことしたくねえけど分かってくれよ、新郎は確かに目で言っていた。
MDSのダサさを譲歩してまで結婚したい相手がいる、それって素敵なことだと思う。少なくとも今の僕だったら彼女がもしMDSを結婚式で使いたいなんて言った日には買ってきたゼクシィを鍛え上げた筋肉でバラバラに引きちぎり、紙屑となったゼクシィに火をつけ、その周りで三日三晩踊り続けて彼女の気が変わるのを祈るだろう。それを見た彼女はMDSどころか結婚までやめてしまうかもしれない。
新婦が得意げにMDSを出して新郎が苦笑い。それを見て周りは一笑い。司会者の合図で「あーん」の合唱をして最後に新郎の口の周りについたクリームを新婦が拭いている間、僕はいつも天を仰いで無駄になったクリームと、大人になった新郎に思いを馳せている。
みんなが使ってたから使うんだよ。
ブクマがそこそこ付きそうで不快。
あれ食い物に敬意がなくてきらい 多分結婚式やってる業者が、変なイベント増やしてオプション料金取ってるんだろう