2017-09-09

同人楽しいけど

同人活動にハマったのは2008年だったから、足掛け9年ほど同人誌を描いている。

ジャンルはそこそこメジャーで読んでくれる人も多いので、幸いなことにモチベーションも切らさず本を書けている。

同人始めた当初は、同人誌を読むのが大好きだった。

いろんな人の本を読んでは「なにくそ!」という気持ち漫画を描いていた。

知り合った作家さんと新刊を交換し、互いの本を読みながら キャラ解釈について語るのが楽しかった。

本当に楽しかった。こんな楽しい営みがこの世にあるのかと思った。

あるとき私生活(と言うか仕事)がとても忙しくなった。

イベントには申し込みを済ませていたので新刊を出さねばならない。

少ない時間からなんとか原稿する時間を捻出し、なんとか新刊を出した。

イベント後も仕事は変わらず忙しかった。こちらの趣味事情など知る由もなく。

その時私は、同人誌を読むことを辞めた。

同人誌はページ数のわりに読むのに時間がかかる。

作家の熱い思いが16ページ程度の漫画にこれでもかというほど濃縮されていて、

一冊読み終えるごとにインターバルを挟まないと次の本が頭に入らない。

薄い本揶揄されることも多いが、実際は見た目ほど薄くはない。

から500円を躊躇なく支払える。

その時の私にはその時間的コストを支払う余裕がなかった。

仕事をしなければ飢えて死んでしまう。

サークルにはささやかながらファンが付き、次の新刊を心待ちにしてくれる。

仕事サークル活動同人誌を読むことを天秤にかけ、「同人誌を読む」という趣味を諦めた。

買った同人誌イベントで交換してもらった同人誌を、積んだ。

積み同人誌とでも呼ぼうか。

当初は、時間に余裕ができればすぐに崩すつもりだった。

しかし、思い返せばその時すでに、サークル活動面白さが同人誌を読む面白さを上回っていた。

そこそこ絵が描ける人はわかると思うが、

絵や漫画を描いて人に見せるというのは凄まじく承認欲求が満たされる。

幸い、こんな私でも絵も漫画も褒めてくれる人がけっこうたくさんいる。

そりゃあもう、すごく満たされる。脳汁めっちゃ出る。

時間的余裕ができたとき、私が真っ先にしたのは次の絵を描き、次のネームを切り始めることだった。

積み同人誌はまた増えた。

サークルが有名になると、他のサークルとの付き合いも増える。

イベントで交換する新刊も増える。

コミケに一度出るたびに、交換した新刊段ボールいっぱいに満ちた。

積み同人誌がまた増えた。イベントごとに増えた。

そうして、積み同人誌ダンボールに囲まれながら私は生活している。

この生活を、この負債をどう返せばいいのかわからないまま、次の絵を描いている。

絵も漫画も、描くのはとても楽しい。本当に楽しい

自分がいいと思ったもの表現して、良かったと返してもらえる。本当にやりがいを感じる。

一方で、同人誌を読むのを辞めてしまった私は、他の人にやりがいをお返しできないままでいる。

私はどうすればいいんだろうか。

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