両親は共働きでしたが、家事育児に費やす時間は明らかに母親に偏っていました。父はいわゆる仕事中毒で、ウィークデーは帰宅が夜12時過ぎるのが当たり前の生活。で、その間の子どもの世話やらなんやらは、母が仕事をしながら切り盛りしてたわけです。
後から聞いたことなんですが、母はこの状況に強い不満を持っていたようです。自分はもっと仕事がしたいのに、父は好きなように仕事してるのに、と。そしてその不満が、一人息子である自分に向いたようなんです。
といっても虐待とかではないんですが、小さい頃からとにかく家事を色々やらされました。昔のアルバムを見ると、明らかに小学校入学前の自分が、高い踏み台に登って皿洗いをしていたり、自分と同じくらいのサイズの掃除機をかけていたりする写真が残っています。母は常に「手伝え」「分担しろ」と言いました。子どもに家事を押し付けて自分は寝ている、とかではないです。でも、家で母が家事をしている時に、遊んでるとか休んでるとかは許されなかった。
自分に家事を手伝わさせる時に、母が繰り返し言っていたのは、「これからの世の中、家事をやらない男なんて結婚できないからね」でした。当時の自分はわからなかったですけど、今になってみればあれは、父に対する不満が噴出してたんだと思います。
そんな家庭で育って大人になって、自分はまあ普通に家事ができるようになりました。そしてただ技術を持っているだけじゃなくて、他人が家事をしているのに何もしないでいることに強い罪悪感を感じるんです。だから誰かと一緒に住んでいても、結局大半自分でやってしまうことになる。母の呪いみたいなもんなのかなあ、と思います。
最近悩んでいるのは、付き合う女性がみんな「働かない、家事もしない」という、ヒモみたいな状態になってしまうことです。どうも自分は、「家事をしない男は愛されない」という強迫観念に取り憑かれていて、女性の側は「だったらやらせてあげる」みたいになって、しばらく時間が経つと自分は「この人は俺が面倒見ないと生きていけないんだ」と思い込んでる状態になっている。これって共依存とか言うんですかね。
最近、ここ数年付き合っていた女性と別れました。相手は大学院を出て、「研究者を目指す」と言ってなんかやってて、でもバイト一つもしてなくて、それを自分が食わせていました。これまでもずっと似たような感じです。一生結婚できない気がしてきました。