7月12日、PSVR用コンテンツとして「傷物語VR」が無料公開された。
今までのVR体験の中で最も感動したので、その気持ちを伝えたい。
傷物語という映画を隣りに座る女の子と一緒に視聴するのだが、この女の子に心を奪われた。
「リモコンを取って」「ボタンを押して」とユーザーを導いてくれたり、眺めているとリアクションを取ってくれたり、雨が降るシーンでは傘を差してくれたりもする。頼りになって、愛らしくて、親切なのだ。
傘を差してくれたときには、現実の人間に見せる表情を作り小さくお礼を言ってしまったほどだ。女の子の振る舞いがアニメ特有のお約束ではなく、人間の好意を引き出すものになっている。かわいい。
スクリーンが環境に溶け込んでいる。画面の中をキャラクターが動くだけでなく、画面自体も動くのだ。複数のモニターに囲まれたと思ったら、それらがガラスのように割れ、水たまりに変化する。教室に居たと思ったら、トンネルを駆け抜け、深夜の公園に放り出されている。この現実ではありえない出来事に違和感を感じないのがすごい。まさに「そこにいる感覚」と呼べるものだった。
正直なところ、現時点のVRは、初体験の衝撃こそあれ、一週間もすれば画質の悪さや装着の煩わしさから興味を失ってしまう程度のものでしかない。しかし、この作品は手間をかけてでも繰り返し見たいと思えるコンテンツが存在することを証明してくれた。