今回レビューするのはアニメ映画の「」、様々な看板キャラクターが企業を飛び越えて登場するクロスオーバー作品だ。
看板キャラクターたちが一つのアニメで絡み合うのはそれだけで贅沢だが、この作品はそれだけで満足せず、なんと実写ともコラボしている。
ストーリーもそれに合わせ、アニメのキャラクターが現実に実存するという世界観だ。
そんな世界観で繰り広げられるものが普通で済むわけもなく、実写である主人公に次から次へと巻き起こるアニメ的な展開は、馬鹿げているのを通り越して狂気じみている。
もとからアニメ作品は過剰で異常な演出が多いのだが、実写と合わさることによってより際立っているといえよう。
自分の知っているキャラが出ているという理由だけで観ると、その狂気にやられて参ってしまう人がいるかもしれない。
だが、実写とアニメの動きはしっかり合わさっていて、両方とも高いクオリティなので無理やりにでも魅入らせる。
当然、アニメと実写の親和性にも限界はあり、絵の違和感は否定できない。
だが本作はそれすら逆手にとっている節すら感じ取れる作りで、特に黒幕の正体が判明するシーンはその極致である。
本筋もしっかりしているが、一瞬しか出ないシーンのアニメの書き込み、実写の演技や演出など細部にもこだわりを感じられる。
とはいえ、不満点もある。
まず、様々な作品のアニメキャラが出ているといっても多くはカメオ出演で、割合的には一つの企業が権利を持っているのばかりで偏っている。
また、時おり妙に社会的なメッセージが含まれることがあるのだが、そこも不満点だ。
それを主役のアニメキャラに喋らせている一部シーンはミスマッチだと感じた。
これは原作である小説が、その時代の背景を色濃く反映した社会派の作品だからだ。
アニメ映画にする上で様々な要素を付け足して前面に出していった結果、元あった要素が浮いてしまうのは皮肉的ともいえる。
とはいえ、ミスマッチという点を除けば、メッセージ自体は中々に深いということは補足しておく。
不満点もあるが総合的には満足度の高い作品で、実写とアニメの組み合わせでここまで意欲的かつ秀逸な出来の作品は未だ出ていないと断言してもいい。
答えが気になる人は各自で調べていると思うが、一応答えを書いておく。 実はブコメに答えを書いている人がいたのだが、どうやら「原作の小説がある」という点で躓いて、違うと判断...