2016-01-27

雪崩が起きた今、君はどうしてる

1ヶ月前には数億円もの大金を手にするチャンスを掴んだと思えば、今は数百万円ほどの借金ができて来月には千万レベルまで増えそうだ。

しかし、今週末の結果によってはキャッシュではないが数億円分の資産ができる可能性も充分ある。

2週間前まで楽しそうにデートしていた女が今は一緒に居ても楽しそうな素振りは何もない。

先日まで笑顔で媚を売ってきていた奴らが、今は相談を持ちかける雰囲気を感じ取ってか反応がどこかぎこちない。

あいつらは金や地位を持っている男にはヘラヘラと近寄って来るが、何も無くなればサッと引いていく。

そんなことは前々から予想が付いていたし、前にも経験したことがあるからわかっては居たけれど、あいつはそのタイプじゃないだろうと思っていた奴でやはりそうなのだ

「辛いことがあったら声かけてよ、いつでも力になるから」と1ヶ月前には言っていた奴らに相談を持ちかけ、何人に断られたことか。

雪崩が起き、登ってきた山を駆け足で降りている。

出来ることならば真下に降りず、横へ逃げて助かりたい。そして、また山を登りたい。

まだもう少し走ればどこかに避難場所があって、しばらくそこで耐えればまた山を登れるのではないかという希望もある。

しかし、一緒に山を登ってきた仲間は雪崩に飲み込まれたのか、上手く逃げたのか周りには居ない。信頼していたガイド雪崩が起きるや否やすぐに逃げ去っていった。

あそこに見えるのはコンクリートで出来た安全建物なのか、それとも木で出来たボロい建物なのか。

一か八かあの建物まで走ってみるか。もしかしたら、仲間もあそこに居るかもしれない。

いやいや、このまま真下へソリで滑れば今回の登山は失敗にはなるが自分の命だけは助かる可能性は高い、こっちにするか。

悩ましい選択だ。建物を目指して助かる見込みは50%登山を諦めて逃げればほぼ100%命は助かる。

どちらを選んだ方がいい、と自信を持って決めることはできない。

仮に建物まで走り、助かったとしてもいつ同じことが起きるかわからない。

これまで数々の困難を乗り越えてきた登山ではあるが、一緒に頑張れると信じていた仲間やガイドがこれほどまで簡単に逃げるのを目の当たりにすると、正直山頂に辿り着く気が失せても仕方がないとも思う。

誰のために登っているのか、何のために登っているのか。

仲間のためか、金のためか、地位名誉のためか、応援してくれた人のためか。


私自身、生活費はそれほどかからない人種だし、地位名誉にはこれっぽっちも興味はない。車も欲しくなければ、時計も欲しくなく、服にも興味がないし、食べ物にも興味がない。

それでも平凡な道を歩いていれば、苦しむことがなかったであろうに、険しい山を登ってきたのは何かを成し遂げたいという漠然とした目標と、お世話になった人達への恩返しという理由があったと思う。

だが、すでにお世話になった人へは逆に心配ばかりかけてしまっているし、これ以上登り続けるのは迷惑をかけることになるかもしれない。

何かを成し遂げたいという目標人生を長い目でみれば、今下山しても再度挑戦できるだろう。

こうして考えると、大きなリスクを背負い今あそこに見える建物避難する選択を取るメリットはないのかもしれない。

しか

もし、あそこに仲間がまだ1人でも残ってくれているのなら、

もし、まだ諦めずにオレと登り続けてくれる仲間が山のどこかで耐えてくれているのなら、

オレは下山する訳にはいかない。

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