デザイナーをしているものだが、個人的に五輪エンブレムは納得のいくものだったので、ネット上に蔓延したダサいという意見には戸惑った。
同時にそれをダサいと感じる人々の理由を知りたいと思ったのだが、困ったことにそれを説明できている人が自分の観測上、いなかったのだ。
例えば、五輪制服に関するダサさ、あれはわかりやすいし説明も納得もしやすい。制服でありながら一般のフォーマルの文脈をあまりに逸脱しているからだ。あれがダサいことに異論はない。
しかし、あの五輪エンブレムはロゴデザインとしてはかなりスタンダードなのだ。落ち着いたトーンやスタティックな図形の使い方は均整も取れている。日本の伝統的なハレの三色を少ない面積で入れるあたりも、非常に王道だ。要するにかなり保守的な、ハズレの要素の少ないデザインなのだ。
それに対し、暗い・躍動感に乏しいというのならわかるが、このスタンダードなデザインをもって単に「ダサい」と言ってしまう人々というのは、正直言えばそもそも洗練がどういうものか理解していないのではないか、要するにこの人たちの感覚こそがダサいのではないかと思ってしまう。(シンプルなアップル製品を「ダサい」と思う人々もいるのだ)
また、広告会社への不信・不満は特にネット上では顕著で、その先入観からの印象も大きいのではと思う。個人的に勘繰ったのはネット上の佐藤可士和へのdisの雰囲気で、その流れからシンプルなロゴ=ダサいに至った可能性もあるのかなとは考えた。
要するに、五輪エンブレムの炎上の発端は偏見に基づくもので、エンブレムそのものについては正当な批評がされることなく話がゴチャゴチャになってしまったと思うのだが、どうか。
ちなみに、パクリかどうかの判断は一切無視して書いた。純粋に、パクリ騒動が起きる前に上がった「ダサい」という声について考えたかったので。
デザインに関してはトーシローだけどあれはしゃれてたと思う 色んな展開ができるっていうのにも納得いったし 結局ネットでああいう声を挙げる人ってやっぱりどこかオタクなんじゃ...