ごく一握りの人間しか体験できない心情というものは非常に興味をそそられる。
移籍一つでも色んな答えがある。
村田は巨人に移籍した際は、勝ちたいという自分の気持ちに嘘はつけない、と自分の気持ちを率直に吐露し、
逆に落合は清原の加入により玉突きになった際、清原に負けるとは思わないがどちらを使うかで悩む監督の顔は見たくないと微妙な発言をしている。
新井さんは、まあ、いいや。
とにかく、かつての夢や現状への不満、今までのチームへの恩や移籍先からの歓迎の声と言った多くの感情が渦巻く中での発言は
最近では武藤がハットトリックを達成したにも関わらずチームが引き分けた試合後、
自分が4点取って勝ち点を3取れればもっと素晴らしい一日になった、と若者らしい非常に野心的な台詞が聞かれた。
知的で非常に礼儀正しい彼だが、超一流のストライカーになるためには常に貪欲でなくてはならないと、
自分に言い聞かせている部分もあるのではないだろうか?
今シーズン輝きを見せる香川は、昨シーズン中に過去の自分と現在を比較された際、
過去は過去、と言って自らを取り巻く幻想を振り払う覚悟を見せた。
発言通り香川は全盛期と言われたかつてとは違った、よりゲームメーカーらしいプレイでチームを牽引している。
各メディアの壮絶なプレッシャー、バッシングに晒される中で自分のプレイスタイルを変える決断は簡単ではなかっただろうが、
その決断ができた彼だからこそ、再び輝きを見せることができているのだろう。
もし自分に移籍のオファーが来たらどんな決断をしどんな言葉をファンに伝えるか、
自分がスランプに陥った際はなんとメディアに伝えどうやって自分を奮起させるのか、
そして優勝インタビューや引退会見でどんなシーンを思い出し、涙を飲みながらどんな言葉を言うのかいつも夢想する。