2015-02-27

東方鈴奈庵25話の考察

某裏で行われてた今月庵こと鈴奈庵25話の考察が目から鱗だったので。

ネタバレになるからまだ読んでない人は注意。





















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霊夢がなぜ里に危害を加えないと宣言した易者妖怪もどき)を退治したのか。

霊夢の「里の人間監視仕事」「人妖が幻想郷バランスを崩す」という発言から理由は"幻想郷を維持するため"だというのは分かる。

そうなると、ある程度東方世界に浸ってる読者はその動機づけをこう考えるはず。


・里の人間が無闇に妖怪化すると人間妖怪バランスが崩れる

・そうすると妖怪にとって都合のいい世界である幻想郷崩壊しかねない

霊夢は紫とともに幻想郷維持管理する側の立場から、これを阻止しようとするのは当たり前


ここまで考えた時、「幻想郷妖怪のためのもの」「霊夢はそんな幻想郷維持管理する立場」という前提から無意識に「霊夢は(幻想郷を成り立たせるために妖怪退治を行っているけど実際には)妖怪側の人間」と考えてしまう人もいると思う。

実際に俺は無意識にそう考えてしまっていた。


ここで易者と霊夢のやりとりを見てみる。

易者は、霊夢を「無用な殺生をしない」「妖怪巫女」と呼び、また里に危害を加えるつもりはないから敵対する理由はない」と説く。

それに対して霊夢は、自分を「無用な殺生もする」「人間巫女」と呼び、「妖怪なら問答無用で退治する」と応える。

まり易者はあくま霊夢を「本質的には妖怪の味方」と見ているのに対して、霊夢あくまで「人間の味方だ」ときっぱりと易者の視点否定しているのだ。

  (個人的注釈

   易者「お前は周囲に妖怪を侍らせて妖怪の側に立つ巫女なのだから、"里を襲わない"という幻想郷ルール

       抵触するつもりのない俺と敵対する理由はなく、無用に殺すはずがない」

   霊夢「私は人間巫女なのだから、例え無用な殺生に見えようが、妖怪ならば問答無用で退治する」)

もし霊夢が易者の言うように本質的には妖怪の味方だというならば、霊夢は(幻想郷人間妖怪バランスを崩しかねない)里の襲撃を行わないと宣言した易者を見逃していただろうし、「里の人間妖怪になるのが一番の大罪」というのが妖怪側の管理者理論だとするならば、少なくとも「人間の味方だ」などとは言わずに「ルールを破った」と言い放った上で退治していたことだろう。

霊夢あくまでも「人間の味方」だった。(当然といえば当然だが)

無意識に「易者の目線」で見ていた読者が俺の他にもいたとすれば、その認識は他ならぬ霊夢自身の手によってばっさりと消し去られたのである


以下の内容は推測も入っているが、考察として面白いので紹介。


霊夢本人はおそらく幻想郷の維持は肯定していると思う。

あるいは幻想郷の維持はあまりにも当然のことと考えていて、疑問すら持っていないのかもしれない。(例え妖怪のための世界であっても)

霊夢幻想郷という枠組みの中で人間を守ろうとしているのだと思う。

から基本的人間に害なす妖怪は悪であり、霊夢人間妖怪化を阻止しようとするし、妖怪問答無用で退治する(それは霊夢妖怪側だと思っている易者の視点から見れば無用な殺生と映る)

一方、紫は妖怪立場から幻想郷を維持し、人里を維持しようとする。

霊夢と紫は、目的こそ違えど「幻想郷を維持する」「人里を守る」という利害が一致して似たような立場にいるのではないか。


もちろんそれならなぜ霊夢と近しい一部の妖怪は退治されずにいるのか、という問題も出てくる。

弾幕ごっこで一度「退治」してしまえば、あとは人間に危害を加えない限りそれっきりなのか、今回は易者が「人間から妖怪化した」という大罪を犯したからきっちりと退治したのか・・・。


ただ少なくとも今月の鈴奈庵の霊夢発言は、霊夢は決して紫(というか妖怪)の手先ではない(少なくとも本人はそのつもり)ということを物語っている。

霊夢幻想郷を維持しようとするのは、個人的には、霊夢も(人間視点から見てもなお)幻想郷を気に入っているから、と思っていたいが。

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