大学の研究室を運営し、院生やポスドク研究員を人格破壊したとして逮捕された教授(47)、准教授(45)両教員(いずれもアカハラで起訴)。
2人は他の研究室員にも、実験のミスなどを理由に日常的に暴力を振るっていた。のどかな田園地帯にある大学で何が起きていたのか。逃げ出した元研究室員らが、異様な支配の実態を明らかにした。
「殴られているのに逃げ出せなかった。思考能力が完全に低下していた」
研究室「△△学講座」が開室した2003年に数か月働いた30歳代の助教は、自身が受けた暴力の実態について口を開いた。両教員は当時、一日の大半を研究室で過ごし、5~6人のポスドクを雇っていた。「最初は普通だったけど、だんだん変わっていった」。実験室内で寝泊まりを命じられ、帰宅時は説教が始まり、両教員が当時住んでいた官舎の掃除までさせられた。きちんとできなければまた説教。そのうち、様々な「暴力」が始まった。
特につらかったのが「睡眠制限」だった。夜中でも勝手に眠ることは許されず、「30分仮眠していい」といった指示に従った。オーバーすると殴られ、「うとうとした」というだけでテーマと関係のない論文執筆を押しつけられた。
要求は次第にエスカレート。両教員は助教の知人を敵対視しており、ある日、教授から「雇ってもらって感謝しているなら、書きかけの論文を盗んでこい」と命令された。翌日、助教は意を決して研究室から走って逃げ出した。
「睡眠も十分に与えられず、毎日のように色々言われ、まともな精神状態じゃなかった。あのまま研究室に残っていたら、死んでいたかも」。助教は当時を思い起こし、苦悶の表情を浮かべた。
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