技術で世界をかえる?それって自己満足になってない?【鈴木まなみ】 | TheWave
「技術が目的化しちゃいけない」なんてこと、趣味でも何でも、何かに打ち込んだことがある人だったら、そんなこと言わないはずなんだよ。
技術が目的化する状態っていうのは、研究、特に基礎研究なんかがそうだと思う。
技術とか真理の探究が目的であるものは、短期的には金銭にならない。
目的があって、それを達成する、っていうのは、逆に考えれば非常に会社的、資本主義的で、短絡な発想だ。
それに至る困難や、複雑さを考えない人がよくそう言う傾向がある。
その目的に至るまでのパスを考え、問題点を洗い出したり、困難な問題を突きつけると、途端に不可能とかマイナス思考なことを言うな、みたいに言い出す人が多い。
技術が目的化するのは、頭が良すぎる人たちだけじゃないはずだ。
自動車の運転だって、スポーツだって、楽器だって、それで試合やレースに勝つとか、人前で評価される前に、そのもの自体が目的化している時間があるはずなんだ。
吉本隆明が、何事にもそういう時間が必要だ、と本に書いているのを読んで、本全体には納得がいかなかったが、その文章だけは同意せざるを得ない。
それを他人のために使うかどうか、はまた別の局面であって、その二つが両輪になって初めて素晴らしい何かが成立するのであって。
考えなしに、何かを達成しよう、と考えたところで、そこまでのルートを洗い出せば、自分の能力を超えていること、人的資金的パワーが足りないことにぶちあたって、破綻するだけ。
何も目的がなくても、毎日ナイフを研いだり、試合だとか明確な目的がなくてもランニングするんじゃないかな、スポーツ選手だって。
これはどういう仕組みなんだろう、どうしてこうなっているんだろう、ということをひたすら突き詰めていく。