父親が育児関わった子ども 思春期の精神不調リスク 低い傾向に | NHK | 医療・健康
この記事のブコメでいま星を圧倒的に集めているのが以下のコメント。13:40時点で216。
このコメントしたユーザと星つけたユーザ、絶対に疑似相関がなにかわかってないだろ?擬似相関は潜在変数によって本来因果関係の無い変数間に関係が見られるような場合を指している。例えば小学生の身長の高さと算数の点数は比例することが知られているが、これは身長と算数の点数のどちらも年齢と相関関係があるからであり、本来身長と算数の点数には因果関係はない。この場合、同年齢(あるいは月齢)内で再度高身長グループと低身長グループを分けるなどによって交絡因子の影響を排除できると考えられるし、通常科学的な研究を行う場合は交絡因子の影響を排除するような操作を行うことが一般的である。
まず大前提として、この研究では交絡因子の調整を行ったと明記されている。
The risk of poor psychological well-being was lower among more active involvement groups compared with the least involvement group, after adjusting for potential confounders (risk ratios = 0.90 [95 % confidence intervals: 0.85, 0.95] for the most active group).
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0165032722014355?via%3Dihub
概要しか読めていないので具体的にどのような調整をしたのかはわからないが、その妥当性については査読で十分に検討されているだろうから一定以上の信頼は置けるだろう。また父親が育児参加している場合はそうでない場合に比べて人手に余裕のある育児が可能と考えられるため、これらに因果関係があるというのは特に不自然ではない。またブコメの主張するように交絡因子として『家庭の円満さ』がある場合、『家庭の円満さ』と『父親の育児参加』、『思春期の精神不調』に因果関係が存在する必要がある。これらにどういった関係があるのかは調査してみないとわからない(本文を読むと近いことが書いてあるかもしれない)が、家庭が円満であることによって父親の育児参加が増えるというのは因果関係が逆転しているように思えないだろうか。家事・育児の役割分担が夫婦間で偏っている状況が家庭の円満に対して悪影響を与えることは想像に難くなく、家庭内が円満であった結果として父親が積極的に育児参加するというよりは、父親の育児参加によって家庭内の役割分担が均されて家庭内の円満が保たれるといった説明のほうが腑に落ちるように思える。まあ上述の通りこのあたりは調べてみないとなんともというところだが、現状では疑似相関であるという主張は根拠がなく、因果関係が認められているという仮説を採用するのが自然である。
少しでもアカデミアに関わったことのある人間なら常識だが、論文を(特に英語の)ジャーナルに載せるのは非常に労力がかかる。研究を完成させて論文を投稿するまでに労力がかかるのはブクマカにも想像がつくだろうが、その後レビュワーのコメントに対応するにも投稿までと同じくらいの労力がかかることがよくある(分野にもよるかもしれない)。一発で通ることもあるにはあるらしいが、非常に稀である。ハゲタカジャーナルならまだしも、まともなジャーナル(分野が違うのでこのジャーナルは知らないが、エルゼビアだしIFもそこそこありそうなのでまともといっていいだろう)たかだか10ページ前後の論文を載せるために多くの研究者のチェックを通っている。君らがいっちょ噛みで文句をつけられるような部分は、すでにケアされて世に出てきていると思った方がいい。
はてなブクマカは覚えた言葉を反射的に吐くbotだぞ!
科学も経済も法律も理解しているつもりで全部ボロボロだぞ
よくわかんないけどちゃんとしてるはず!そうに決まってる! としか書いてなくて草