2022-04-07

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2014-01-27

アジア 経済

中国でまん延する“どぶ油”、安さの裏に潜む「健康リスク

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中国上海スーパーで売られる大きなボトル食用油。これらは地溝油ではない。上海生活していても地溝油地溝油として実際に見かけることはない中国上海スーパーで売られる大きなボトル食用油。これらは地溝油ではない。上海生活していても地溝油地溝油として実際に見かけることはない

中国屋台や安い食堂では「地溝油」と呼ばれる食用油が使われているとよく耳にする。地溝油とは、日本語に直訳すると“どぶ油”。「地溝油は人目のつかない夜にしか取引されないんだよ」と中国人の友人は私にこっそり教えてくれた。

地溝油はいったいどんなものなのか。古くて恐縮だが、2011年11月17日付ベイジンレビューにはこう書かれている。「原料は、生ごみ残飯、低品質の食肉、揚げ物などに使われた廃食油など。これらを再精製し、一般食用油より安く売られている」

地溝油の最大の問題は、安全性担保されていないことだ。摂取を続けることで消化器へ悪い影響を与えたり、がんの発生を助長する可能性がある、と栄養士も指摘している。中国当局は、地溝油の売買への取り締まりを強化しており、2011年9月には地溝油生産販売にかかわる32人を逮捕した。回収された地溝油100トンにものぼり、彼らのネットワークは浙江、山東河南など14の省に及んでいた。

多くの中華料理には油がふんだんに使われる。スーパー店頭では、食用油は5リットルの大型サイズで並ぶ。ちなみに中国では食用油使用量は増えていて、1年の消費量は2250万トン。これは日本(230万トン、2006年)の10倍近い量だ。

地溝油中国でまん延する背景には、その存在飲食店にとって格好のコストダウン手段になりうるという事情がある。大量に使う食用油コストを下げられれば必然的利益はアップする。店主はいわば、この誘惑と闘わなくてはならない。

「この料理には地溝油を使っています!」などと申告する店主はいないので、地溝油は実際のところどこまで使われているのかは見当もつかない。だがもし1皿5~10元(85~170円)の炒飯を出すような安い食堂でも使っているとしたら、私は相当な量の地溝油を体に入れていることになる。もちろん中国の人たちは私以上に摂取しているはずだ。

ここでひとつ疑問がわく。廃食油はなぜ、食品以外に利用しないのだろうか。中国ももちろん、政府許可のもとに廃食油を原料として引き取り、ゴム、石けん、燃料などを生産する取り組みはある。しかし、こうした工場の多くは事業継続が難しい状況に立たされているという。

山東省のある工場は、廃食油から燃料を製造すべきところを、より大きな利益を得ようと食用油地溝油)を製造し、飲食店販売していた。この偽装問題メディアが大々的に報じ、大騒ぎになったこともある。同じ油でも、燃料としてよりも、食用で売ったほうが高値で買ってもらえるという現実がある。

燃料化の障害になっているのは廃食油の価格高騰だ。1トンにつき1600元(約2万7200円)で買い取ることができれば、燃料にリサイクルしても利益を確保できるとのこと。ところが1トン5500~6000元(9万3500~10万2000円)に跳ね上がってしまったため、燃料だと元をとれなくなった。

こうした状況から推察すると、地溝油はいまだに多く作られていると考えるのが妥当だ。油脂工業専門家らも、政府はこの問題もっと注意を払うべき、と声を上げる。

地溝油に限らずとも、食の安全中国が抱える大きな問題ひとつになっている。人間健康生活するために食事をとるわけで、人体へ有害もの食品に極力含まないように管理するのは、本来食品事業者にとっては当たり前のこと。にもかかわらず、逆になっているという皮肉な実情がある。

ただこれは見方を変えれば、消費者食品などさまざまな商品を購入する際の意識を高めるべき、ということを示唆しているのかもしれない。スーパーで売られる生鮮食品見切り品は、「安さ」の理由として商品が傷みかけていることがすぐにわかる。同じように、地溝油をはじめ安い商品の裏には何か理由があるということを意識した行動を心がけていきたい。(上海真下智史)

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      • 1年の消費量は2250万トン。これは日本(230万トン、2006年)の10倍近い量だ。 素朴な疑問として、人口が違うんだからそりゃそーなんじゃないの?

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