2020-11-23

クラフトビール未来は暗い

クラフトビール」というビールを知っているだろうか?

ここ3年くらい大手ビールメーカーもこぞって参入しているので

最近はだいぶ認知度も上がってきているとは思うが、いわゆる「地ビールである

零細規模のブルワリー醸造個人または企業)が作る個性豊かなビールのことで

ここ10年程度、東京を発信地として少しずつ広まってきており

最近クラフトビールをメインに提供する「ビアバー」なども多く見られるようになった。

自分地方出身人間としては比較的早くクラフトビールに触れることができ、

約6年ほど様々なクラフトビールを楽しんでいる。

しかしながらそのクラフトビールであるが、

時間が経つにつれだいぶ状況が変化してきている。

マーケティング理論プロダクトライフサイクル

市場の変化を「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つで分けて考える理論

をまさに地で行っており、今は「成熟期」といえる状況だ。

そしてその先の「衰退期」に繋がりそうな不安な部分も目立つようになってきたので改めて指摘してみたい。

(1)高価格

一番大きな変化で一番痛いのがこれだ。

私がクラフトビールを飲み始めた6年前は

基本サイズとなるパイント(約500ml)で900~1000円が基本だった。

これでも十分高く感じるかもしれないが、その個性豊かな味にまだ納得できたものだった。

しかしながら現在、当然ビールの種類やブルワリー価格設定によりはするものの、

パイント1杯1200~1300円の物も当たり前になってきている。

原因は原料価格の高騰と各ブルワリーが口を揃えて言うが、本当のところはよく分からない。

ただ、ここまで来るとさすがに酒の価格として手軽に飲めるものではなく

お金に余裕がある人の飲み物となってきてしまった。

(2)ブルワリー激増による競争激化と商品への影響

ここ数年で日本全国に数多くのブルワリー誕生した。

都道府県によっては10軒以上ブルワリー存在するようなところもある。

その結果どうなったか、当然競争が激化した。

需要も増えているとはいえ、明らかにその需要を超える数のブルワリー誕生した為

各ブルワリーとも趣向を凝らし過ぎるようになり、

よく分からない奇をてらったビール品質の低いビールが多く市場に出回るようになった。

(残念ながら価格は全く下がっていない)

少し前まではビアバーメニューも次のような感じで、

ジャンル名前とブルワリー名が並ぶようなシンプルものだった

No.1ペールエールAブルワリー
No.2IPABブルワリー
No.3セゾンCブルワリー
No.4ヴァイツェンDブルワリー


あくまでもイメージではあるが、今はこんな感じである

No.1東京レインボーペールエールAブルワリー
No.2IPA シトラホップ 2020エディションBブルワリー
No.3晩秋の憂鬱Cブルワリー
No.4国産ヴァイツェン高畠Dブルワリー


メニューを見ても全くよく分からない。

店員にどういうビールなのか聞く機会が増える一方だ。

(3)醸造家の移籍問題と薄利少売なビジネス

クラフトビール世界でよく聞かれるのが

「〇〇ビール醸造長が△△に移籍した」とか「□□ビール醸造長が独立するらしい」という

醸造家の移籍独立に関する噂だ。

ここには醸造自身の想いは当然あるものの、

からないビジネス構造という見過ごす事のできない問題根底にある。

クラフトビールは基本薄利少売だ。

醸造設備が小さく、また営業能力も低いため大規模に販売ができない。

それがクラフトビール個性でもあり魅力なのは確かなのだが、

人気ブルワリー醸造長でも収入が多いとは言えないのが現状で、

移籍独立の原因になっていると考える。

この辺りの移籍のし易さ、移籍の多さは居酒屋業界そっくりである

ビアバーが立ち上げたブルワリーも多いわけで、似る事は当然なのかもしれないが。

醸造長が移籍することの問題点は、移籍していなくなってしまったブルワリー品質崩壊だ。

長くなったこの辺で終わりとしたい。

価格化、複雑化、そして格差と今のクラフトビール業界カオスになってきている。

業界としてこの成熟期の次にそのまま衰退期に入ってしまえば、

近いうちに撤退を決めるブルワリーも増えるのではないだろうか。

この面白いクラフトビール業界がこの先どうなるのか、

自分クラフトビールを飲みながら眺めていたい。

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