2019-10-08

まるかいて地球を聞いてほしい

ヘタリアという国擬人化漫画はご存知だろうか。

アニメ版ヘタリア主題歌であるまるかいて地球」がいかに素晴らしいかを知ってほしい。是非、アルバム「まるかいベスト」を最初から順番に聞いてほしい。

まず最初は、この物語主人公であるイタリアだ。ヘタリアイタリアらしい、明るく軽やかでころころしていて、それでいてどこか気が抜けたメロディー歌詞ヘタリアという作品象徴するような歌である

イタリア」が歌うだけあり、歌詞はいくつかのイタリア語が散りばめられている。冒頭の「papa」「mamma」は、まだ分かる。日本語でも馴染みのある「パパ」と「ママ」。しかCメロでは、耳馴染みのないイタリア語が怒涛のように畳み掛けてくる。はっきり言ってよくわからないままCメロは終わる。それでも、イタリアイタリア語でイタリアらしい歌を歌っているなあ、流石国擬人化作品だ、と素直に感心して終わる。

次は、イタリア相棒であるドイツ。「ドイツだし、ワインのところはやっぱりビールだよね」「やっぱりヴルストかー」日本人ドイツに抱くステレオタイプを外さない改変。「ドイツ語ではパパの事をファターと言うんだ!」といった発見もある。低音のドラムによるサウンドドイツのむきむき感を喚起させ、ヘタリアキャラクターとしてのドイツイメージも十分。でもCメロは、やはりよく分からない。

続けて日本。我が母国である。ここで、Cメロ日本語で歌われることによって、よく分からなかったイタリア語、ドイツ語の意味がやっと分かる。「ああ、お兄さん、お姉さん、お爺さん、赤ちゃんに呼びかけるシーンだったんだ」言われてみれば、先の大戦を生きたであろうお爺さんに平和を誓う、未来を生きる赤ん坊の為に…なんといい歌詞ではないか!3曲めにして、やっと歌詞の全貌を理解することができる。ここで前2曲を聴き返してみたりもする。

2巻の特典である日本イギリス辺りからは、よりその国の民族音楽意識したアレンジが施されるようになってくる。和楽器やお囃子をふんだんに使った日本ブリティッシュロックギター音がカッコいいイギリス、おしゃれなシャンソンアレンジとゆったりした感想がなんともらしいフランス、そして原曲を留めない激しいフリーダムさが持ち味のアメリカ。この辺は、日本人にも馴染みの深い国々だから歌詞の改変も「あー成る程ね!」と唸りながら楽しむことができる。ちょっと捻った表現の多いイギリスとか、凝ってて楽しい

ロシア語は全く分からない、という人が多いだろう。しかし、ここまで順番に聞いてきた人なら、ロシア語は分からなくても歌詞意味は全て分かっているので、Cメロも難なく理解できる。ロシア民族音楽らしい、すこしマイナー音の多いアレンジ、そして間奏は誰もが知っているテトリステーマ。ここに来てさらクオリティを上げるか、といった感じ。

一期のラスト中国。どこか切なさを感じるロシアver.と打って変わって、明るく温かみのある曲調。ヘタリア中国は独特のイントネーションによる協和語を喋る、まさに日本人想像しがちな中国ステレオタイプのものみたいなキャラである。歌の出だしか雰囲気は十二分。

そしてこの中国ver.、他の曲よりコードが若干高い。サウンドも非常に華やかで、Cメロはなんとも嬉しそうな甲斐田さんによる歌唱も相まって涙が出そうになる程盛り上がる。最後は、原曲と同じく「ヘタリア」で終わる。最後まで美しく、華やかに、盛り上がって終わる。「ああ、世界一周旅行のフィナーレだ…」なんとも言えない高揚感と満足感を味わうことができる。

そう、イタリア中国を通しで聴くことにより、世界の色々な国をすこしずつ体験したような気分になれるのだ。これは何と言っても、我々が各国へ抱くイメージ完璧再現した編曲の妙である

そして、曲の歌詞あくまで「ヘタリアの〇〇」ではなく、「〇〇国と言えば!」に徹しているのも重要ポイントだ。国擬人化たる彼らが、ヘタリアキャラクターとして与えられた人格を封じ、彼ら自身たる国であろうとする歌詞が、ヘタリアキャラクターを、単なる記号化されたキャラクター以上の何かに引き上げている。

これが2期の8カ国だとダメなんだ。国ではなく、ただのヘタリアキャラクターになってしまっている。1期はキャラソンを超えた感動があったのに、2期はただのキャラソンでしかない。

後に発表されたスペインver.は、1期の路線にだいぶん寄せてあり、そこそこ良かった。でもCメロで変にキャラを出してしまっているからやっぱり惜しい。模式をなぞっているからこそ、各国の違いが鮮明になり、国体ソングとしてのまるかいて地球が成立していたのに。

結びとして、1期8カ国だけでいいので是非順番に聞いてほしい。聞けば分かるさこの感動。それ以外は、そのキャラが好きなら聞けば良い。

  • 気に食わないことが1000に1つでもあったら反転してアンチ化しそうな長文

  • ボーノトマトボーノトマトボーノボーノウー♪ 恥ずかしくて二度と聞けないけど今も脳にこびりついている

  • いいね。光の腐女子長文だ

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