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2020-06-29

「一つの正義に対しては逆の方角に等量等質の正義存在するのではないか」と不敗の魔術師は考えていた

現在NHKリメイク版も放送されている名作スペースオペラ銀河英雄伝説

この作品の中でも特に輝かしい英雄である銀河帝国元帥ラインハルト・フォン・ローエングラム候と自由惑星同盟元帥ヤン・ウェンリー提督

この二人が初めて顔を合わせるのは原作小説では5巻の風雲編、OVA版では4クール目のラストにあたる第54話目の事だった

まり作品の主役でありそれまで幾度か戦場で矛を交えながら面識は無かった二人の主人公がようやく直接言葉を交わすという、ファンなら誰もが待ち望んだ展開だと思うんですが

そこで民主共和制否定するローエングラム候に対しヤン提督反論し、逆に専制政治否定しローエングラム候を唖然とさせた時弁明するようにタイトル理屈を持ち出したんだけど

僕はこの考え方を初めて聞いた時とんでもなく感銘を受けた

それまで「正義の逆はまた別の正義」「どちらが正義でどちらが悪という訳でも無い」という言葉を聞いてもどうもしっくり来なかったけど、ヤン提督のこの言葉は何故かストンと腑に落ちた

言い換えると「何か一つの考え方が生まれた時それと真逆の考え方もまた同時に生まれる」というちょっとロマンティックな考え方に思えて、そういう所が好みに合ったのかな

余談ではあるけど、銀河英雄伝説には主人公ヤン・ウェンリー嫌悪されファン寄生虫とも呼ばれる保身の天才、ヨブ・トリューニヒトという悪役政治家が登場する

彼は読者に非常に高い人気を誇るヤン提督に敵視され、自らの利益のみを追い求め事実上自由惑星同盟が斃れる切っ掛けになった人物だけど、銀河英雄伝説ファンからはそれなりに高い人気があるそうな

悪役であった彼の目的が、主人公ヤン・ウェンリー養子であり愛弟子であった少年ユリアン・ミンツと全く同じ構想、つまり銀河帝国に立憲体制をしく事だったと終盤明かされたのは、

民主主義のために命を懸けて戦った主役であるヤン艦隊の面々とただただ保身のみを考えた悪役であるヨブ・トリューニヒトの一体どこが違うのか?と少し考えさせられるような気分になった、やっぱり銀英伝って今見ても面白い

 
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