高校の頃、二言目には整形したいと言う友人がいた。
そいつは特に不細工ではなく、というかむしろ美人だったが、どうもなぜか整形したいらしい。でもまあ、その異様な整形への熱量を除いては普通の子だったので仲良くしていた。
そんな友人とは大学進学で物理的に離れたが、転職やらでまた近くに住むことになり久しぶりに会うことにした。あんなに整形したいと言っていたので、顔変わっててわかんないかもな笑と思って待ち合わせ場所に着いたものの、同じ顔のままの友人がいた。いや多少痩せてはいたか。
なんで整形してないのかと聞くのも失礼な話だと思ったが、美容皮膚科の話になったので結局流れで聞いてしまった。整形しなかったん?と。
結論から言えばやはり整形していなかったし、するつもりもないとのことだった。理由は「全員ブスだから」。
彼女はコロナ禍で家にこもっている間、美容系YouTuberの動画を漁りまくり、アイドルの顔面を研究し、それはもう顔面改造のための勉強に熱量を注ぎ込んでいた。
だがその過程で、かわいいと思ったインフルエンサーがボトックスの打ちすぎで喋り方がおかしいことに幻滅し、人気のアイドルは目だけでかく口は小さいのがシュメール人みたいで幻滅し、本当に綺麗な顔だと思える人は片手で数えるほどしかおらず、他は全員どこかしらブスだと気がついた。顔でもてはやされているアイドルも、雰囲気でもてはやされているに過ぎない。そこで改めて自分の顔を鏡で見て…………まあこれならええか。と思い至ったという。
これは友人が元々美人であったことも大いに関係あると思う。だが実際、芸能人の写真などを例に、つぶさに顔面の解説をされるとみるみる魔法が解けていく。
もちろん芸能人は顔面だけでなく、スタイルの良さなども見られるものだが、友人曰く全身の骨格はいじれないので、運動で変わる部分以外はもうどうでもいいそうだ。人類みなブスなので。
シュメール人にだけは憧れる。
なるほどね