一言で表すと「文春は丁寧な仕事をしていて、新潮は極めて雑」と言わざるを得ない。
文春は本人に突撃取材を敢行し、山川本人の言い分を洗いざらい載せた。一方で新潮はそれがない。
新潮の方は正確に言えば「本人のマネジメント事務所に質問状を投げたが無視された」が正しいが、翌営業日までに回答せよってメールをいきなり投げつけてもまともな企業なら無視する。これはゴシップメディアがよくやる手口で、「取材を試みたがだめだった」という事実を作り、「取材しろよ」という批判をかわすのが目的だ。つまりただのアリバイ行為。
文春は山川の球団関係者にも取材している。一方で新潮はそれがない。山川と違い、所属チームが海外なのでチーム関係者への取材は難しいかも知れないが、常連である日本代表の関係者や、日本に居た時の所属チーム(柏、甲府)の関係者、そして今回の女衒役とされる伊東の個人トレーナーなど、いろいろ取材先はあったはずだ。
文春は山川が事に及んだとされるホテルの客室に実際に入り、どんな状況で事が進んだかを詳しく記していた。一方で新潮にはそれもない。ここまで比較してみるとよく分かるが、新潮の記事はコタツ記事と大差ないのである。
文春は山川の事案をWBC期間中には把握していたが、取材と記事発出はWBC終了まで待った。一方で新潮はそれを怠り、アジアカップ期間中に発出した。
だからこの観点でも山川の件と比較され、「アジアカップの対戦国からの差し金では」という陰謀論が一部で囁かれることになった。
文春は初砲の後も次々と二の矢、三の矢となる続報を出してきた。一方で新潮にはそれがなさそうだ。あるのなら、伊東純也側の反訴に対して「まだ記事化してない内容がある」と言うはずだが、新潮から出てきたコメントは「心を踏みにじるものです」というお気持ちコメントだけ。女性側からのタレコミ以外に情報を持ってなさそうなのが有り有り。事実上白旗宣言と言えるだろう。
文春は、山川の件ではかなり丁寧な仕事をしていた。山川に対しても気を使っており、その結果、昨年末、山川は文春記者の単独インタビューに誠実に答えている。山川は文春を名誉毀損で訴える素振りすらみせなかった。
一方で新潮はコタツ記事レベルの仕事しかしていない。悪意があると見做されても仕方ないレベルであり、そりゃ伊東側は全否定して虚偽告訴の告発まで走るよなあ、と。