ご近所のAご夫婦が、旦那さんの母親を引きとり同居することになった。
父親が亡くなって、一人にさせとくのが不安だから引きとったらしい。
A旦那母さんはかなり遠方に住んでいた人で、方言も習慣もこっちとは全然違う。
初対面の時、ちょうど日曜日で、早起きで午前に活動するのが好きなうちの夫(午後はお昼寝する)は菜園の草むしり、私は家の中で子供にごはん食べさせてた。
そしたらA旦那母さんに
って驚かれた。
いや旦那の趣味の菜園だし、草むしりもその一環なんですけどね。
その他にも
陰で残り物を食べるのが女のたしなみで、男に食べる姿を見せないのが誇り」
とか
「男尊女卑で有名な県みたいに思われてるけどそうじゃなく、女が尻に敷いてるのよオホホ~」
みたいなことを、こっちが聞いてもいないのに方言でまくしたてて帰っていった。
と思った。
(A奥さんがノイローゼっぽくなったら愚痴だけでも聞いてあげよう)
とか勝手に考えてた。
でも予想は外れて、弱っていったのはA旦那母さんの方だった。
「男はこう、女はこう」
と言っても息子夫婦もみんな
反論してくれば戦えるのにそれもなし。
ただみんな笑顔で
「そういうのもいいですね」「そうなんですか」
でやんわりスルー。
そしてだーれもA旦那母さんの言うとおりにしない。
いくら言っても息子は嫁のために重い物を持つし、息子夫婦は一緒のテーブルでごはんを食べるし、土日は夫婦だけでデートしたりするし、よその家もそう。
スーパーに行けば仲良く買い物してる夫婦ばかりだし、何なら奥さんの方がズンズン歩いて旦那が付いていくとか普通に見るし。
とどめに息子夫婦の勧めで習い事に通ったら、そこでは自分の死んだ夫と同年代~年上のお爺さんまで女性に優しくて、怒鳴ったりかんしゃくを起こす男性が全然いなくて、
Aご夫婦はよかれと思って習い事に行かせたのに、A旦那母さんは鬱になってしまった。
A奥さんが役所に相談して、福祉関係の人が今通ってA旦那母さんの話を聞いてあげてるらしい。
A旦那母さん
「ずっと女が尻に敷いてる、女のたしなみだと思ってやってきたけど、自分の人生は本当にこれでよかったんだろうか」
「まわりの人がみんな自分より幸せそうで、旦那さんに大切にされていてつらい」
死んだA旦那さんの父親はけっこうなDV夫で、A旦那さんはそれがいやでさっさと家を出た人だから、自分の母親に対してもちょっと突き放した感じらしい。
A奥さんが
「元気づけてあげたくて外に連れ出しても、幸せそうな夫婦を見るとさらに鬱ってしまうからどうにもできない」
って困ってた。
60代でそれは珍しい 80代なら納得