社会の分断が進んでいる、分断はよくない、この言動は分断を煽っていて悪だ、という表現をしょっちゅう見るようになってしばらく経つのだが、あの考え方がどうにもしっくりこない。
「分断はよくない」と言う人々には、本来一体になって協力できているはずの人々が、対立煽りに踊らされて不必要な分断状態になっている、というニュアンスが感じられる。
素朴な説明として、民衆が全員協力して一揆や革命を起こせば貴族をビビらせて悪政を撤回させられるのに、分断されることで一斉蜂起が出来なくて悪政が続いているのと同じ状況だ……みたいに言われるが、そもそもこの説明だって貴族と民衆の分断じゃないか。
その「ここは譲れない」というのが思い込みであり、お前らの生きがいとか、心身に深いダメージを負うほどの嫌悪とか、心の支えとか、大事にしているものとか、トラウマからくる恐怖とか、そういうのみんな本当は捨てさせられるものなんだとまで言い切るなら理屈は分かるけど。
「分断はよくない」とは言えても「分断感情の理由になってる、あなたの人生の核を捨てましょう」なんてことは言えないし、そのために洗脳だか文化解体だかそういうことに手を汚すわけもない。
もっと優先度の高い外敵や災害が存在する場合に、一時的に貴族と民衆や呉と越が協力することはあるが、そんなもの常に存在してはいないからな。それだって、戦場や避難所みたいな直接危機にさらされている場所でだけ協力する気になって、隣町とかではそんな気にならないし。
トラバさあ。
分断は無くならない。SNSをちょっとのぞけば分かる。対立の火種を探している人たちは大勢いる。できるとすれば、分断と対立の中で、各々が妥協できるポイントを探すぐらいだ。