父子家庭という事は知っていた。その父親も持病があるとの事だった。低学年の頃うちに何度か遊びに来たことがあって、靴を揃えなかったりソファで急に靴下を脱いだりするなどしていて、家庭が機能していなさそうだなと思っていた。
この時この子嫌だなと思ったのは、Switchを明らかに持っていない様子にも関わらず、持っていると言って子の好きなゲームを子のSwitchで遊んでいた時のこと。
持っていないから貸して、と家の中で言う分には一緒に遊んでも特に大きな問題は無いと思うものの、「ここクリアした」「簡単だよ」と子に言う割に基本的な操作がまるでできない。ああ、嘘なんだなと察した。
学年が上がり久しぶりに同じクラスになってから、子の習い事の空き曜日に遊ぶ相手として名前が再び上がるようになった。子が仲良く遊んでいる話を聞かせてくれるので、最初は特に何も思わなかった。
また、嘘に気付いた。うちにはペットロボットが何種類かある。大型のタイプは2匹で遊んだりする姿が可愛らしく子もたいへん気に入っている。どうもそれを学校で話したらしい。
そうすると例の子は「うちにも4匹いるよ。自宅に2匹と、おばあちゃんの家に2匹いる」という。Switchすら買う余裕のない家庭で買えるものではない。また嘘だなと思った。子は信じている様子なので一旦そのまま様子を見ようと思う。
子を連れてテーマパークに行った。お土産を少し買って、特別仲の良い友人に渡した。子の通う学校のルールでは、お土産を先生がチェックして、問題なければ他の児童に見えない場所で相手の子に渡すことになっている。高額なものや授業に関係の無いものを持ってこさせないためのようだ。
例の子は渡す相手に含まれていなかった。お土産を渡したことをクラス中に言いふらされて、子は嫌な思いをしたようだった。
後から、普段外で遊んでいる時もみんなからお菓子を貰っているのに本人は持ってこないと聞いた。聞いたこともない待遇の塾に通っていると聞いた。塾の日なのに「途中で抜けてきた」と言って遊びに来ているとも聞いた。嫌な事があるとすぐに拗ねる、相手を詰ると聞いた。
あまりに聞いていてしんどい。自尊心を傷つけられまいとしているのが伝わってくる。周りの「普通」に自分も入ろうとしているのが伝わってきてつらい。