ギルドに着きました。
元々そんなに人が居ないのか、時間帯のせいなのか、すいていたので、受け付けカウンターのようなところへ行く。
「お、お貴族様……じゃないですよね?」
そうじゃない旨、身なりについてはあまり触れてほしくない旨等を説明すると快く話を聞いてくださった。
「果物屋の親切な人に聞いたらここでお仕事を斡旋してもらえるということでしたので」
「まあ、そうですね。なんでもかんでもあるってわけじゃないですが。それで不躾ですが、御職業のほどは?」
「主婦でした」
「主婦……?」
「ええ、家事全般ならなんでもこなせます。料理もそんなに凝ったものでなければ」
「あー、じゃあ駆け出しってことですね」
「かけだし?」
「家政婦……メイドさんとか、そっち系ですかね。お掃除とか。それかレストランでのウェイト……給仕とか……」
「そうなんですか?」
ギルドの子の話では、家政婦のような人を雇うのは貴族か余程の大商人でしかない。
貴族に雇われるのは下級貴族とかの人で一応貴族社会にゆかりのある人に限られているそうだ。
最下級の貴族さんは人を雇う余裕もないか、あったとしても同じ最下級の貴族さんとかを雇うとか。
大商人的な人達が雇うのは、コネのある人が多いらしい。商会で働く人の家族とか親戚とか、精々その人に紹介された親しい人で枠が埋まる。
レストランもそんなに大規模なものはこの街にはなく、家族経営の食堂とか一人でやってる半セルフサービスの店しかない。
「困りましたね。ここに来れば何とかなると思ったんですけど……。お恥ずかしながら一文無しなんですよ」
「一応そういった駆け出しの方への救済措置として、1週間の宿泊施設と、お食事代は御貸しする決まりにはなってます。あとは簡単なお仕事のあっせんと」
「そうなんですか。ではお願いしたいんですけれど」
「といっても……。最近利用者が居なくて、お部屋のほうが凄く汚いですし……。簡単なお仕事といっても……その女性で活躍してる方は多いですが……その……なんというか」
言いにくそうにしているが、ここは押し切りましょう。
「これでもそれなりには体力あるんですよ。なのでぜひ宜しくお願いします。お部屋も掃除道具を貸してもらったら自分で掃除しますので」
「……そうですか……じゃあ一応見てみます?」
あれ? ここはどこ? 子供たちが独立して、パパが亡くなって…… そっか……あたし……死んじゃったんだ…… ふわふわしたところで神様っぽい人から説明を受けてたような...
anond:20210529175725 ギルドに着きました。 元々そんなに人が居ないのか、時間帯のせいなのか、すいていたので、受け付けカウンターのようなところへ行く。 受け付けの女の子がちょっと...