商業イラストレーターとも一緒に働くことがある環境だけど、やはり彼らはアーティストではなく社会人であり、デザイナーに近い性質を持っている。納期の中で目的を達成するための最適なクリエイティブを、人とのコミュニケーションをしながら生み出すことができる。そうした人たちとして働くには、個人的にはアウトプットの速度と、一定程度の柔軟性(自分のスタイルを保ちつつも状況に応じて妥協点を探れる性質)が必要に思える。そして、それを高めるには増田も認識している通り、社会人経験が有効なようだ。
一方で、クリエイティブ職を目指して挫折した経験があるので、彼女の気持ちもよくわかる、ように思える。(増田の文章から想像される、自分の中の彼女像に対してだが。)
何者かになりたい、それを証明できるのは自分が作り出すものだけだ、という断定と焦り。自分の作ったものでお金を稼ぐことができたという喜び。自分の作ったものが誰かに認められ、褒められたときの全能感。これらを一度味わってしまうと、それを手放すことはとても困難だ。
結論、増田の考えの方向性にとても近い。クリエイティブに近い職場で、直接手を動かさなくてもディレクション等で力を発揮する環境を手に入れる。もしくは、クリエイティブに全く関わらない仕事に就いて、趣味や副業として作ることを続ける。
増田は彼女の後見人ではない。最後まで面倒をみる責任は、恐らくない。(どういうバックストーリーがあるかは分からないので、「おそらく」とする。)究極的には他人であるので、増田の考えを強要することもできない、と増田は知っている。彼女が夢を追い続け、増田がそれを許容できない場合、別れるタイミングが来たのかもしれない。