じいさんが死にそう。
90になるじいさんだ。
元気がなくなってて、下血したので検査したら、腎不全に胃がん疑いにがんの全身転移疑いだそうだ。
がんの検査は体力的に耐えられないだろう、ということでやらないことになった。
この冬乗り切れるか。
悲しいような気もするが、ついに来るかという実感の方が大きい。
じいさんはろくでもないやつだった。
若いころから金遣いが荒く、実家の資産は全部なくなったしまった。
女遊びも激しかった。ばあさんは大変だっただろう。
定職についてない時期も長かった。
タクシー運転手だったり、送迎バスの運転手をちょっとやってた記憶しかない。
実家には畑に田んぼと農地がたくさんあったが、じいさんが農作業しているところはほとんど見たことがない。
トラクターで耕すぐらい。
根っからの怠け者だった。
趣味はパチンコで、酒を飲み、たばこを吸い、テレビを見て過ごす、ろくでなしだ。
じいさんとの思い出は特にない。
ばあさんはこんな野郎に嫁がなくてはならなくてかわいそうだった。
このばあさんでなければこの家は続いておらず、俺が生まれることもなかった。
ばあさんには感謝してる。
ばあさんはすっかりぼけてしまっていろんなこと忘れてしまっている。
かわいそうに。
じいさんがいない悠々自適な時間を楽しんでほしかったが、憎まれっ子世にはばかるだ。
そういうやつはしぶとい。
大人しくなると情が沸くもので、いざ死ぬとなると寂しいものだ。
母も憎たらしいと思っていただろうが、腐っても自分の父なので最近は甲斐甲斐しく面倒を見ていた。
最後は看取ると言っていたので、満足だろう。
娘が生まれたのでこんな世の中じゃなきゃひ孫見せてやりたいところだが、
双方リスクが高くて踏み切れない。
ばあさんには見せてやりたい。誰だかよく理解できないだろうけど。
落ちも何もない。
人生って感じするな
23日に他界した。 娘は葬式に連れてった。 娘を連れて行ったことで、明るい葬式だったな。