先週辺りに「入院者数は増えていない」と言っていた人が,入院患者数の増加を受けて,昨日辺りからは「重症者数は増えていない」と言うようになったらしい。
入院者については,その日の新規入院人数と退院人数を計算することができる。
少し補足すると,入院者の総数や増加数は一覧できるようになっているのだけども,退院人数はトップ部分に累積が掲載されているだけなので,前日の数値を手元に記録しておかなければならない。
ともあれ,その日の退院人数と入院者増加数が分かるなら,両者を足し合わせれば新規入院者の数がわかる。
最近は,だいたい40人/日くらい退院して,50人/日くらいが入院している(7日移動平均)。例えば昨日は82人,今日は70人が新規入院した。調整中の人数がこの2日で64人増えているのが少し気がかりである。
重症者についてはどうか。
重症者は,増減数はわかるけれども累計離脱数は分からないので,新規重症化人数がわからない。(「離脱」という言葉は我ながら違和感があるが,回復と死亡のどちらもあるし,ICU入退室と人工呼吸器着脱があるので,うまい言葉を思いつかない。)
出入りが分からないということは,人数が前日のままでも,1人の新規と1人の離脱かもしれないし,5人の新規と5人の離脱だってありうるということだ。
もっとも,新規重症化人数は統計的に推測ができるかもしれない。
新規陽性者の6〜7割を占めるage<40の重症化率は約2%と言われる。
重症化するのは発症から10日後頃らしい。だから,今の新規重症患者はだいたい新規陽性者が32人/日くらいだった時期に対応する。つまり今は1日1人,重症化するかしないかくらいだ。残り3〜4割の高リスク群を加味すればもう少し多いか。(余談だが,実はここ数日,70代〜90代にまとまった数の陽性者が出ている。)
ともあれ,もう数日すれば7日移動平均>50人の時期に対応する重症者が現れるようになるので,まぁ,安定して1日1人くらいずつ重症化するようになるだろう。
感染者数はだいたい1週間で1.5倍くらいずつ,つまり1日6%くらいずつ増えている。だから,12日で2人/日くらいになるし,1ヶ月後には6人/日くらいになるだろう。新規の重症患者はこうやって中学レベルの簡単な数学で大まかな予想ができる。
1ヶ月の総数は等比数列の和の公式で計算できる。1日6%ずつ増えるとすると,初期値1として7月は85人/月くらいか。8月頭が6人/日だとすると8月は500人/月くらいか。(というのが楽観的な予想である。もう少し悲観的な予想としては,もし流行の拡大に伴い今の年齢分布の偏りが解消されるならば,よく見慣れた重症化率2割・致命率2%が適用されるようになり,重症患者数はより早く増えるかもしれない。孤発例からの封じ込めがますます重要である。)
これに対し,重症患者の回復は予想が難しい。重症者が人工呼吸器を外せるまでの期間は長い上に分散が大きいからだ。
だから大雑把な仮定になるが,たとえば全員が30日で回復または死亡するとすれば(希望的な数値である。),たとえば40日後の重症患者数は,1〜40日間の重症患者数から1〜10日間の重症患者数を引けば推測できる。だいたい142人くらいだ。
新規感染者数は俗に「2週間前の行動の結果」(現実には10日前くらいだろう)と言われているが,新規重症患者数に影響が出るのはそこからさらに10日ほど後なので,「3週間前の行動の結果」とでも言うことができそうだ。
ちなみに,医療崩壊寸前と言われた4月の流行時の重症患者数のピークは,4/28,29に記録した105人である。東京都の再生産数が<1となったのは4/13のことなので,新規感染者数の減少の2週間後に重症患者数の減少が始まるといえるかもしれない。
50人/日に対する重症化率2%で新規要請者数だけ6%/日ずつ増え,30日で全員が回復または死亡するとすると,35日後には累計の重症患者数が105人を超えるので,その2週間前である7月20日頃には再生産数が減っていた方が良いと思う。
カンマ読みづらいよ
重症者数の減少局面で,新規の重症者数を荒く推計するアイデア。 重症者は死亡または回復によって減少する。 死亡がすべて重症者だとすると,重症者の減少人数から死者数を引いた人...