対人ゲームが苦手だ。勝つのは嬉しい、負けるのは悔しい、だから負けた原因を考える。
当たるのは自分より知識があり、自分より操作が落ち着いて上手な相手。
当然ぼろきれのように負ける、食らいつけている感覚すらない。精神が削られる。
それでも、と再び実戦に出る。当たったのは自分より知識がなく、操作がおぼつかない相手。
当然苦労せず勝てる、相手に負ける想像すらできない。いつもの動きでいつものように勝てるだけ。
これの繰り返し。自分と実力が拮抗し、鎬を削れるような相手と当たれるのは1ヵ月に1~2回。
と、こういう壁にぶち当たったり、自分と同じ実力者を求めると、必ず「そういうコミュニティに入ってみたら?」といった文章だ。
大きなコミュニティでも、小さなコミュニティでも、そこに入ってさえしまえば自分より上手い人、自分より下手な人、自分と同じ人がいる。
その人たちと対戦し、今の対戦のよかったところ、悪かったところ、ここを直せるかも、こうしたらいい、などと話し合う。
それも重い雰囲気ではなく、軽く、あくまで談笑するように。ただ、それによって実力は上がっていく。
私にはそれが出来ない。人と話すのが苦手だ、コミュニケーション全般が苦手だ。
だから一人で壁を乗り越えようとする、でも、それはすごく難しい。
さっきまで勝てていた行動が、急に通用しなくなる。すると、脳がパニックになる。
「これなら勝てていたのに」が通用しなくなる。同じ人でも、違うキャラで。同じキャラでも、違う人で。
覚えていないとダメなことが沢山増える。私は覚えるのが苦手だ、要領が悪いのだろう。精神が削られる。
やがて、全く勝てなくなり、時に煽られ、時に操作ミスをし、覚えられず、他人とのコミュニケーションもできず、苦しみだけが増えていく、精神が削られる。
AIが相手のゲームをやるようにしている。「強い」と言われる敵と対峙したときも、「こうしたらどうだろう」、試行の積み重ねが自分の実力になっていくのが分かりやすくて、とても楽しい。
最初はボロ負けしていたのも、段々と拮抗していき、やがて超えられる。それは相手が変わらないから。相手の強さが変わらないから。
コミュニケーションなんてなくても、自分の力だけで乗り越えられる壁。それがとても心地いい。
この前、ふと昔やっていた対人ゲームに触れた。
人がいるか心配だったが、思っていたより数はいるらしく、すぐにマッチングした。
対戦、何もかも忘れてしまっていたのか、全く歯が立たない。でも、思い出せばいけるかもしれない。
敗北画面で「再戦」のボタンを押す、相手からの再戦希望はなかった。
感情をやめろ
競技性を詰めてギリギリの対人戦を楽しむ世界ってのは実際のところ大抵の人が向いてなくて、だから運ゲーの対戦ゲームに価値がある ババ抜きとかシャドバとか