会社に入って幾年が経った。
男社会のこの会社で、私はこの支社で初めての女性総合職だった。
ちなみにまだ私以外の配属実績はない。早く仲間がほしい。
ゆるふわに生きてきた自分にとって会社組織はとてもしんどかった。
飲み会に朝まで付き合うこと、下ネタやキャバクラにもちゃんと付き合うこと、セクハラされても笑顔で返すこと。総合職なんだからこれくらい当たり前なんだと言われて。最初はそういう求められる姿を実現するのも嫌ではなかった。
でもいつからか心が追い付かなくなった。
学生の頃、男友達と下ネタで盛り上がるなんていつものことだったのに、上司や同僚とそれをするのに嫌悪感を抱くようになった。
朝まで飲みに行くのも体力的にきつい。それでも次の朝にはしっかり化粧をして会社に行く。
そして、セクハラを笑って受け止めていたら、こいつには何をしても何を言ってもいいと思われて、
心の中ではたくさん傷ついているのになんと反論していいのかわからなくなった。
ここで嫌だと言ったら、嫌われるのでは?場が冷めてしまうのでは?仕事がやりにくくなるのでは?と不安な気持ちでいっぱいになり、結局笑っているしかなかった。
新規開拓がうまくいけば、支社長は「やはり女性は女性ってだけで歓迎されるからな!よかったな!」なんて言う。確かにそうなのかもしれないけど、それは私の実力ではなく女性というだけで結果をもたらしたと言っているの?と悲しくなる。
一度仕事の辛さと業務外での辛さが相まって、直属の上司に泣きながら相談したところ、あろうことか上司が若手を集めて「若手の飲み会でセクハラがあると聞いた。今のご時世うるさいから気を付けるように」なんてことを言ったらしい。
勿論告げ口をしたのが私だとばれた。しらばっくれたけど、通用しなくて男性連中から陰口を叩かれた。
信頼している上司だったから、まさか「今のご時世うるさいから」なんて言い方をされると思っていなくて、それもすごく悲しかったし凹んだ。
私はただ聞いてほしかっただけなのに。
でも、それはきっと社会人としては私のほうが間違っているのでしょう。
そんなときに限って、男は私を抱くようになった。
「君は頑張っている」「君は俺のお気に入りだから、次転勤するときには行きたいところに行かせてあげる」「君が心配だ、早く幸せになってほしい」などと、甘い言葉を言いながら。
幸せにする責任は絶対にとらないくせにと思いながらも断る気力もなく、なされるがまま抱かれた。
抱かれた後襲ってくる虚無感はとてつもない。
周りの友人が続々と結婚する中、こんなことをしているから選ばれない人間なのだと強い劣等感が襲う。
でも、お客さんも「女性は早く家庭に入って子育てをするのが幸せ」となんの悪気もなく言う。
「まずは伴侶を見つけるところから!」なんて笑っているけど、「またか…」という気持ち。
皆こんな気持ちを押し殺して働いているの?
私は、名誉男性にはなりたくない。
今日も女は買われた展 そんなときに限って、男は私を抱くようになった。 「君は頑張っている」「君は俺のお気に入りだから、次転勤するときには行きたいところに行かせてあげる」...