映画館といえば、周りに迷惑をかけないように観るのが基本だと思う。
だが、私の友人は 声がでかい のだ。
それはもう…でかい。とにかく普通の会話ですら、周りがこちらを向くほどにでかい。
とても恥ずかしい。
私自身が常識的に生きているかといえば、自分なりに道徳を学び、やってはいけないと思えることはやらないよう注意して生きているつもりだが、
「皆が利用している公共の場だから、必要以上にやかましくしてはいけない」と。
本人も周りを気にして、そこでは静かめに話すようになったのだが…また違う機会で会った時には元に戻っていた。
そんな友人の趣味が映画なのだが、正直な所…この友人が黙って映画を観ることが出来るのかと考えると不安にしかならなかった。
まあ、一人なら喋らないのかもしれないなとも考えられるのだが。
そんな友人と先日映画を観に行くことになった。
周りの視線がとても痛い。辛い。恥ずかしい。
時間になってシアター内へ入ったのだが、ご存知の通りに映画というのは始まるまでに宣伝映像が流れる。
流れている間もぺちゃくちゃと映像に負けず劣らずの声を張り上げる彼がそこにいた。
今回視聴にあたって、一番うしろの席を選んだのだがスクリーン側から宣伝映像の音声が響き渡り、
一番うしろの席から彼の声が響き渡るというのは、もはや拷問だ。
と思い、作品が始まるのを待っていた。
その間も彼は喋り続ける。
何度も注意した。
止まったかと思うと、また思い出したようにボリュームが上がる。
やっと上映開始した後の彼は…静か…に、やかましかった。
『声なき行動で』
喋らない。
「今の場面、笑えない?」のようなゼスチャー。
声がでかいだけでなく、静かであっても一つ一つのアクションがやかましいというのは
付き合っていく人も大変だなと…感じた。
だが、そんな彼とはかれこれ20年近くつるんでいる。