2019-01-19

[] #68-4「ブラックホワイト

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面接はつつがなく終了し、二人は採用された。

「わっほーい、僕は班長ダマスカスと申しまする。よろしくござまーす」

よろしくお願いします。私は……」

モーマンタイよ、マスダさん。部下の名前を覚えるのは上司のタシナミン。しっかりインプット済み」

職場の快適度は上司の人柄が大きく関係しているといわれている。

その点、このダマスカスは気の良い人物だった。

ちょっと訛りが強くて、言語も怪しいが。

ではでは、おふた方が働く場所……ショバ?……へ、ご案内」

「あれ、制服に着替えなくてもいいんですか。私服のままなんですが……」

「いやー、そういうのウチはないっぽいんで。あ、でも、お色直し?……とかしたいならシャワーとか、メイクするところはありますぜ」


…………

職場に着くと、そこには既に働いている人が数名いた。

「勤務時間バラバラなんですね」

「そう、フレッシュタイム?……ってやつですわ」

フレックスタイムのことです?」

あややーーそう、それ、フレックス

出来たばかりの部屋なのか、掃除が行き届いているからなのか、職場全体が広くて小奇麗だ。

反面、各持ち場は私物らしきものが置かれており、独自空間を作り出している。

しか職員同士での明らかな私語も聞こえてきた。

「割と自由にやれるんですね。これだと問題が起きたら大変じゃないですか?」

「そういうのはオカミさんにお任せですよ。僕たちは与えられた仕事だけ適当に……『適当』の使い方あってますけ?」

「合ってる、と思います

「うーん、合ってる。良かった……まあ、そんな感じで、やることやって問題が起きるんならオカミさん責任ってなもんで。僕らが気にすることじゃございやせん」

下働き人間責任がないというのは結構なことで、とても働きやす職場といえた。

ただ、ところどころ意識がユルくて心配にもなってくるが。

「じゃあ、おふた方の業務内容?……を解説します」

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