2018-08-05

看護師は闘った。医師は闘う必要がなかった。

内科勤務医男性です。

東京医科大の女性一律減点という女性差別問題から派生した議論に「女医が増えると医療現場が回らなくなるというが、同じく女性が多い看護師業界では現場は回っている」という指摘がある。看護師業界でも激務はあるだろうけれども、医師と比べると相対的には女性が働きやす環境だ。医師業界でそれができないのはなぜか。

その理由の一つは、看護師はかつて(あるいは今でも)労働闘争を行ったことにあると思う。かつては看護婦労働条件は劣悪であったが、ストライキも含めた労働闘争でそれを改善させたと聞く。「患者を見捨てるのか」といった的外れ卑劣中傷もあっただろう。しかし、当時の看護婦たちが闘い、権利を勝ち取ったことで、後進の看護師や、ひいては質の高い看護を受ける患者さんたちにも恩恵が行きわたった。私は彼女らを心から尊敬する。

医師はなぜ闘わなかったのか。看護師と比べると医師は恵まれていたところがあったからだと思う。私が卒後3~4年目のころだったか、たいへんに労働条件が悪い病院で働いたことがあった。労働者の権利のために闘うという選択肢など思いつきもしなかった。そもそも自分労働であるとは思っていなかった。現在と将来の患者さんを救うため、働き研鑽を積むのは当然だった。

それでもきつくて耐えられなくなり大学医局にSOSを出したら、もうすこし楽な病院に配置換えになった。いざとなれば医師開業もできる。大学医局の強い昔はそうでもなかったが、現在インターネットで楽な仕事いくらも探せる。たまに過労死自殺はあるが、医師は闘わずに逃げる選択肢があったため、劣悪な労働条件が残ってしまったのだろう。

  • 海外では医師が労働争議をおこすってことはあるのでしょうか。 もちろん看護師のストライキも人の命を左右するでしょうけど、医師がやったら当然取り返しのつかないことになり、医...

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