シーンと静まり返っていて、周りには30人ぐらいいて、自分の話し声がその人達に普通に聞こえてしまうぐらいの空間。
そんな場所で、誰かの所に仕事の話をしに行かなければいけなかったり、先輩からミスの指摘やお叱りを受けたりするのが、苦しくてしょうがない。
関係のない人に自分たちのやり取りを聞かれているかも、と思うだけで、会話にまるで集中できなくなる。話す声は小さくなり、態度はオドオドし始め、だんだんとコミュニケーションに支障が生まれてくる。
相手がしびれを切らし、大きめの声・キツめの口調で「え?ちょっとなんて言ってるのか聞こえないよ」なんて言い始めたら、もう完全に負のスパイラルに突入。
「ああ今のもみんなに聞かれてしまった」という焦りのような感情が脳内に充満し、もともとの話題が完全に頭から消え去ってしまう。
皆が作業に没頭していて、そんなやりとりは誰の耳にも入っていない、という可能性だってゼロではない。ゼロではないけれども、誰か1人にでも関係のない人にやり取りを聞かれている可能性の方がずっと高いのだ。
これは最近ようやく自覚できるようになったことなのだけど、職場に限らず、「当事者以外の人に自分たちの会話の内容を聞かれる」という状況を自分はとてもストレスに感じるらしい。
(誰にもこの悩みを話したことがないので、同じことを感じる人がどれくらい他にいるのかは知らない)
例えば狭いカフェ。2人テーブルがぎゅうぎゅうに詰まった場所に座らなければいけないような時は、全く気が休まらない。
隣の人達がずーっと大きな声で夢中になって何かを話し続けていてくれればまだいいのだが、なかなかそういうわけにもいかない。1人でぼーっとしている人なんかが隣にいたら、もうそれは最悪のケースだ。何しろ、ずーっと会話を聞かれるかもしれないのだから。
そんな状況になると、まず他人に会話を聞かれるストレスからあまりちゃんと話せなくなり、それに対する申し訳なさでなおさら話せなくなってしまう。最悪としか言いようがない。
家に遊びに行ったら別人のように淀みなく色んな話ができる彼女とのデートの時でさえも、カフェではこんな有様になってしまう。
他には、混雑した電車なんかでも似たような感じになる。どんなに仲がいい人とでも、あまり電車の中では会話したくない。
自意識過剰すぎる、と言われればそれまでだし、実は誰にも話を聞かれていませんでした、という状況も今までにあっただろう。
でも、そういうことを承知の上で言うが、それとこれとは話が別だ。
頭ではわかっているが、どうしても体が言うことを聞いてくれないのだ。