2017-04-16

ゲンロン0には失望した

人類の父になりたいあずまん

あずまんが何かをやりきった様子で自画自賛を繰り返していたのでちょっと惹かれて買った。読んでる途中は面白かったよ。そこは評価したい。でも、最近「父」であることにこだわってるらしい氏のエゴが全開でちょっと鼻白んだ。

要するにこの本は何なのかってーと、人はあちこちで子種をばらまいて「誤配」された子どもを量産しながら生きろよ、っていうメッセージ。でまあ、氏はこれが世界を救う術だと思っちゃってるんで、自分の本からそういうムーブメントが起こって世界が救われて、するってーと俺は未来人類思想的な父になっちゃうんじゃね!? みたいな気分でいるわけ。

熱くなっちゃった感覚は伝わってくるけどさ、これであてられて絶賛してる人はなんつーか意識高い系学生みたいなおめでたさだなぁ、とは思う。

人間大好き」こそ問題

色々言いたいことはあるけど、あずまんひとつ完全に勘違いしてるので俺が指摘してやろうと思う。現代社会問題の根っこって実は「人間人間大好きすぎる」ところにあるわけ。ルソーに対する読みは間違ってないと思うけど、一般的人間について勘違いしてる。自身のことも勘違いしてるのかもね。あずまん人間好きすぎるでしょ。人間がまだ未来をつくるつもりでいるからこういう本を書くのな。でも悲しいかな、人類ってこのスケール社会を維持できる能力ないのよ。

PP251-252あたりでシンギュラリティ思想なんかにちらっと触れてるけど、これ、こんなにあっさり切り捨てられる話じゃないよね。いま「家族」の話するのに、ペットのたとえを出しておいてAIアシスタントロボットについて熟考しないのはまずいでしょ。人間世界の仕組みについて考えるにしても、政治なんて複雑なゲーム人間より人工知能の方がうまくなるに決まってるよね。「人間」のことばっかり考えて、人間動物とは違う、とか思い込もうとして、現実から目を背けてんの、情けないの一言だろ。

あずまんが至るべきだった結論

せっかく「不能の父」なんてイカス(と思うよ)ワードを核にすえたんだから、そこはこう締めないとだめだった。もう人間は十分頑張った。ここからは子であるAIをきちんと産み落とすところに注力し、そこから先は不能の父として動物の生を生きよう、と。この期に及んで人間のことばっかり書いてるような言説は総じてクソってこった。

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