小さい頃、ポケモンの指人形で友達と人形遊びをするのが好きだった。100円で買える、ソフビみたいなやつ。
このポケモンはどういう性格で、どういう所に住んでて~~みたいなのを決めて勝手にオリジナルストーリーを作って遊んでた。
サトシとかカスミとかが出てこない、完全にポケモン同士のコミュニティの話にしてた。
私はいちばんその遊びをしている時が楽しかったんだけど、ある時「終わらせなければならない時」が来てしまった。
たしかその子が引っ越すタイミングだったかな、女の子の方がもうすぐ中学生に上がるって時だった。
その子は私につき合って今までと変わりなく遊びにつき合ってくれてたけど、なんとなく「子供みたいな遊びにいつまでもつきあわせるのも良くないかな…」と子供ながらに思っている所はちょっとあった。
それで引っ越す前、最後に遊ぶ時に指人形遊びの「最終回」をやった。内容は今まで通りだったけど、おもちゃ箱ひっくり返して色んな人形を使って、思いつく限りの展開をやりつくして遊んだ。
最後それぞれのキャラクターのインタビュー(?)みたいなのをやったんだけど、私は「今後このお話の続きはあるんですか?」と自分の持ってるプリンの人形に聞いた。プリンは「これで終わりだけど、もしかしたらなんかの形で続きがあるかもしれません」と答えた。
今になって思うと、この答えは私の本心だったんじゃないかって思う。
けど、そんなの全くもって現実的ではないことは分かっていた。中学生になったら部活とか、恋とか、なんか私のよく知らないもっと楽しいことがあるはずだから、私はいつまでも人形遊びの世界に友達を縛り付けておくことは出来ない。
そう言いたかったけど、言えなかったから、続きがあるかも、って人形に言わせるしかなかったんだと思う。
その子とは引っ越してからも時々会ったけど、案の定人形遊びの話はしなかった。
私も私でその子が引っ越してからは別の友達と、別の人形遊びをして、引っ越して、また同じように最終回をやった。
今日部屋を片付けていて急にそのことを思い出した。腐女子の友達に彼氏が出来て、なんだろうな~~~前にもこんなことがあったような気がするな~~~と思いながら記憶を探っていて、ようやくたどり着いた記憶だった。
腐女子の友達とはここ数年の付き合いで、ほぼ毎日妄想のラリーを繰り返していた(かなり供給の多いジャンルなので)。もちろん腐女子の友達も「彼氏が出来たとして腐女子をやめることはない」と言っていたし、まあ私もこの子がやめても私はまた新しい友達見つけるか、ジャンルを移動するだけだろうなと思って楽観視していた。
ところが彼氏が出来たと言われてここしばらく、ばかばかしいことに私は胸が潰れるような思いで過ごしているのだ。
でも心のどこかで、「そろそろどこかで最終回を作らなければならないのかもしれない」という思いが芽生えてきている。
というより、どっちかっていうと、「私は捨てられてしまうかもしれない」という危機感なのかもしれないなあ、これは。(だって人形遊びしてた友達も、腐女子の友達もやめようなんて、一言も言ってないからね)
妄想より現実のが上だとか、そんなことは私はこれっぽっちも思っていなくて、現実は現実の楽しみがあるし、妄想は妄想の楽しみがあるって分かってはいる。人によってはそれが両立しうることだってことも。
友達には友達の人生があって、それは私が動かしようのないものだってことも十分わかっている。