俺の経験を書くね。俺の友達の話だ。友達っつっても超仲良かったかと言われても微妙なんだけど。まぁ、何かあればそこそこ世間話ができるクラスメイトだったのは確かだ。高校卒業してからも同窓会という名の飲み会でも顔を合わせてはお互いの近況について話をした。明るくそつのない印象は高校時代と何も変わらなかった。まさか彼女があんなことになるなんて誰も想像すらしてなかった。
様子が変わったのは大学を卒業して社会人になってからだった。元々スリムだった彼女だったが、しばらくぶりに会った彼女は頬がこけ、まるで別人のように痩せてしまっていた。あまりの変貌ぶりにその場では何も言えず、後から彼女の友達に何があったのかを確認した。そいつも詳しくは知らないようだったが、どうも彼女は拒食症じゃないか、というのが通説だった。食べ物がほとんど食べられず、食べてもすぐに戻してしまう、とか。ストレスが原因でかかることが多いらしいが、彼女が抱えたストレスがなんだったのかは誰も知らなかった。一説には彼女が勤めていたIT関係の職場に問題があったとか、長らく続いていた恋人と別れたのが原因じゃないか、とか。結局のところ、俺にはわからなかった。
ある日、彼女の友達からLINEで「彼女が亡くなった」と連絡があった。風邪から肺炎になったのが直接の原因だったらしい。
俺は葬儀に出席した。高校の知人を中心に、こじんまりとした式だった。出棺の前、花を棺に投げ入れる時、彼女の顔を見た。綺麗だった彼女の顔は見る影もなかった。落ち窪んだ目は閉じられながらもそれを拒否するかのように少しだけ開いていた。彼女の光のない瞳を俺は見た。背筋を寒気が走った。
亡くなる前、彼女を含む数人で遠出をした時、消え入りそうな声で彼女は言った。その車内で起きていたのは運転手である俺と助手席に座っていた彼女だけだった。「しゃーないよね」と返すのがやっとだった。彼女は助けを求めていたんじゃないか。俺が手を差し伸べられていたら。もう二度と光を映さない彼女の瞳を見た時、その時のことを思い出さずにはいられなかった。
元増田に俺が言えることは何もないんだが、俺は彼女の最後の顔を見て、月並みだが、人生が変わったんじゃないかと思う。命について、真剣に考えることが増えたんだ。
彼女の顔は今でも鮮明に思い出せる。きっと一生、忘れることはないと思う。
学生時代の先輩が死んだとLINEが回ってきた。 お通夜は土曜日でお葬式は日曜日にやるそうだ。 普通、知人が死んだならお通夜にかけつけて、 お悔やみの一つでもあげてから、最後に...
俺の経験を書くね。俺の友達の話だ。友達っつっても超仲良かったかと言われても微妙なんだけど。まぁ、何かあればそこそこ世間話ができるクラスメイトだったのは確かだ。高校卒業...