今回はとなりのヤングジャンプで読めるシンマンGP2017エントリー作品No.5とNo.6
なんだか連載用に書いていたネームをそのまま出してきたような印象。
シンマンは優勝者が連載権を得られるわけだから、そういう意味ではそれを見越した漫画を出してくるのは一つの判断だとは思う。
ただ導入部あたりまでは魅かれたんだけれども、後半からラストにかけての盛り上がりがイマイチかなあ。
やたらと細かい「ヴァリエ」についての設定のいくつかが、ストーリー上ほぼ機能しておらず不自然で、ただ坦々と読者に説明しているためだけになってしまっている。
現代よりも文明が進んだ設定もほとんど活かされていないし、特にテーマについてのメッセージをほとんどセリフで喋らせてるのも、いきなりあの場面で過去の話をしだした唐突さとかも不自然で、構成が上手いとは言いにくい。
こういったリアリティ寄りの舞台を下地に、非現実的な要素を加えた世界観というアイデア自体は読み切りでよく見る手法ではある。
本作はそれがあくまでエッセンスに留めて、テーマを活かすためのアイテムにしているパターンだね。
本作のテーマの象徴的キャラクターが少年であることは明らかなんだけれども、語り手は別の人物というのは英断だと思う。
少年自身にはあくまで表層的にしか語らせないことで、テーマに対する象徴としてより映える。
勿体ないと思うのは、壁を殴ることがテーマの象徴となる部分なのだから、多少大げさでもいいからもっと絵とか構図に工夫があったほうがよかったかなあ。