もう上映も終わりかけてるらしいし映画賞も一通りとったのでネタバレするぞ。
主人公のすずさんが終盤にかけて色んな大切なものを失うシーン。
すずさんからある大事な存在と共に、特別で大切な拠り所みたいなものが消えていく。
あのシーンが本当につらくて、その後もエンドロールも含めて、彼女は失った代わりに何を手に入れたのだろうと考えた。
最後の『ある子供』はそうだろう。でも、かけがえのないひとつを失ってまで手に入れるものだろうか。交換ではなく、新たなものであり、失った事実は消えない。
でも主人公はじめ、生きているみんなはそれでも生きていく。
でもすずさんはこれから、どこに寄り添って生きていくことが出来るんだろう?
すずさんは、もともと絵を描くことで自分の持てあましている感情を吐き出していたけれど、あるときから、自分でも認識していなかったような感情を、言葉や表情で表現するようになるんです。
この解説が、この疑問の答えだと思った。
主演声優が言うのだから、というよりも、そういえば声が変わっていたのだ。のんが評価される部分はだんだん変化してくすずさんの感情を表現できているからだろう。
すずさんの感性が映画全体の雰囲気と、発する言葉を変えていく。
彼女のことだからそのうちまた絵を描くようになるかもしれないし、感性は失われない。少しの変化はあるかもしれないが、戦争を持ってしても変えられなかった部分がそこにある。戦争はすべてを奪えなかった。
「悲しすぎてもう見れない」
「希望がある気がした」
個人としては後者の感想だ。しかしその希望は考えれば考えるほど分からなくなった。
映画本編終了後、あの世界では確実に大勢が死ぬのだ。主要人物だけではなく、あの日すぐに救援に向かった近所の人たちも。
時限爆弾のように、いろんなことが彼女の周りの悲劇になっていく。
しかし記事を読んだとき、もしかしたら、すずさんがすずさんであり続けてくれたことが希望なのかもしれない…という考えになった。
終わる前にもう一度見て来ようと思う。
それで円盤を…いつになるのかなぁ?遅いのかなぁ?困ったねぇ。