小学三年の時からの腐れ縁で、中学高校と一緒で、クラスは離れたりしたもののいつも何かの縁で自分の近くにいた。委員会が一緒だったり、名前の順が近いため集会では隣にいたり、なぜか文化祭では二人が司会に選ばれたり。
私と彼は似てるんだと思う。
彼は自己中心的で、合理主義、冷酷無比だと自分を評しているが、まあその通りだと思う。しかしその実、人一倍繊細である。自分に自信がなく自己肯定感が低いため愛されたいという願望が強い。自分に良い所なんてひとつもないと本気で思ってしまうほど自信がないのだ。でもその自信のなさを隠して不遜に振る舞ってしまうくらいにはプライドが高い。
そんな矛盾を抱えている。
私と彼は似ている。似ているからこそ、話していてとても心地よい。相手の考えていることが自分の考えていることと一緒なのが分かるから。自分に一番馴染んだ他人、という感じがする。
でも似すぎているからこそ恋愛対象にはならない。自分を鏡写しにしたような存在と一生恋人として付き合っていくのはなかなかきつい。
彼は私に対して主に優しくない。わたしが失敗すれば容赦なくからかい、
バカにする。容姿についてもいじり倒す。でも彼からいくらひどいことを言われようと、なぜか怒りは感じないのだ。怒るどころか、妙に嬉しくなる。こんな風に自分にあけすけにものを言える人なんて君だけなんだからな、という気持ちになる。
私も彼に対して同じようなテンションでものを言う。素の自分でいられる。
今更気を遣う必要もないとお互いに了承し合っているのだ。
でも困ったとき寂しい時に側にいてくれたのはいつも彼だった。失恋した時、決定的なミスをしてしまったとき、一人で眠れない夜を過ごすとき。彼と他愛もない長電話をすることによってどれほど心が救われたか。そんな風に私の心を治療できるのは彼だけだ。
こんなに仲が良いなら付き合ってしまえば楽なんだと思う。その方が物事は簡単に行く。でも恋愛対象として見るのは決して無理なのだ、そこが難しい。
こんな風にいつまでも敵であり味方であり戦友であり、親友であるような、二人にしか分からない何かで繋がっていたい。切実にそう願ってしまう。