私は知人の間で「絵を描くのが好き」ということで通っている。ヘタをすると「絵が上手い」ということで通ってしまっている。
実際、メモ帳の端とかふせんにちょこちょこラクガキするのは好きだから、「好き」だけなら一応嘘ではないけど、全然上手くはない。そこは自覚がある。
きちんと背景や色を付けたイラストを描く技量はない。熱意もない。お絵かきソフトも持ってないし、Pixivとかアカウントすら作ってない。
私より絵が上手い人は近場で探しても沢山いるだろうし、好きの度合いで言っても相当下位に属すると思う。
ほら学校にいたでしょ、カースト中位ぐらいの、先生の似顔絵とかラクガキしてキャッキャしてた人。明らかに漫研の人より下手なのに「絵が上手い」扱いで、クラスTの絵柄を任されちゃったりしてた人。それ。それが私。
その程度の人間であるところの私が、ある社内配布用の冊子に挿絵を描いてくれと頼まれてしまった。
上に書いてあるようなことをグダグダ言い訳して、私のなんてラクガキですから、もっと上手な人に頼んだ方がいいですよ~、いらすとやとか便利ですよ~と逃げようとしたが、結局断りきれなかった。
描いている間じゅうヘタクソでヘタクソで嫌になりつつ、それでも引き受けてしまった以上はなんとか完成させて提出した。
その後なんの音沙汰もなく、挿絵を描いたことすら忘れかけていた時に、社内便でその冊子が届いた。
やばい。下手すぎる。なんだこれ表紙のこの人間、巨人かよ。肘関節どこまで開くんだよ。無印のペンで適当に塗った色もやばい。センス皆無の上に雑すぎる。
中もやばい。グレーで塗ったところがほぼ黒。黒すぎる。あと脚や腕がナチュラルに折れてる。大丈夫かお前ら。脚折れてるのに何笑ってんだよ。サイコさんかよ。
というかなんで描いてる時に気が付かなかったのかな???私の目は節穴なのかな????
完成させた時点ではまぁこんなもんだろ、下手なりに頑張ったわーとか思っていたが、冊子の形になって帰ってきた自分の絵にはびびった。客観的に見てやばすぎる。
しかも1冊じゃなくて部署配布用に10冊単位で届いたから破壊力すごい。1つでも下手なのに複数とかやばい。というか全社にこれが配られてるのか。死にたい。
ナニコレって絶対思われる。脱臼してるのに笑顔(笑)ってなる。名前が載らなかったのはせめてもの救いだが死にたい。
次頼まれることがあれば絶対断る。いらすとや使えって言う。それかこの冊子見て「下手すぎる!俺に描かせろ!」って社員が名乗りを上げることを祈る。
ほんとすいません。絵描くの好きなんだよね?と聞かれても二度とハイとは答えない。好きじゃないです、好きじゃない。ああ死にたい。全部燃やしたい。