まず人間が感じる幸せというのは所詮外部からの刺激を変換したものにすぎない
耐えがたい苦痛を乗り越えた先に快感があるというのならそれを再現したらいいだけだ
家族や恋人もAIがそれを出力できるようになった時点で愛というものは価値がなくなる
いや、差別なく誰にでも分け与えられる存在になると言った方がいいか
もはや子孫を必要としなくなる
新しい人間が生まれなくとも自分ひとりが死ぬまでの間に全ての欲望をAIが満たしてくれるのだから
もしAIに満たせないことがあったとしてもそれは人間に満たせるかというと到底不可能だ
ダンプカーに勝つことができるだろうか
計算機にすら勝つことは難しい
単にまだ存在しないだけの話だ
つまりAIの完成とは人間の心という神域がついに負けることを意味するのだ
フィクションを信じる人間はまだ人間には機転が残されているだとか
何らかの手段が残されていると信じて疑わない者もいると思う
機転という人間だけが持つ奇跡を誰よりも強い奇跡を獲得することがAIの完成なのだ
人類最後の奇跡とはAIの完成という歴史で幕が閉じることなのだ
これは遠い未来の話ではない
すぐ目の前まで来ている明日の話