2012-01-24

DeNAスタイルライセンスの光芒

DeNAが「ソースは公開するが勝手な改変禁止、用途限定」の極めてユニークライセンスを打ち出して数時間後に撤回した。

https://github.com/DeNADev/Arctic.js/commit/b92eea0a83b9b01c53eb3f6fb65fdb8af6bc0aab#diff-1

さて、「内容は公開するが、内容の改変は許諾が必要」というオリジナリティ溢れるライセンスを、この記事では「DeNAスタイルライセンス」と呼ぶ事としたい。さて、DeNAライセンスの内容からDeNAのたくらみが幾つか想像できる。

知財攻撃のツールとしてのDeNAスタイルライセンス

「ウチのソース侵害しとるやんけワレぇ、出るトコ出てもらおかい」と中小ソフトハウスを牽制恫喝し、囲い込むために敢えてソースを公開し、他社プロダクトの類似動作やモバゲー参加ベンダーへの牽制に利用したかった、と読むことは難しくあるまい。それはDeNAスタイルライセンスの指針はOSSのそれではなく、明らかに特許指向であるからも伺い知れる。MicrosoftAppleに範を取り、知財戦争における兵器兼防衛機構としてDeNAスタイルライセンスで守られたコードを行使したかったであろう事は想像に難くない。

結果を公開しつつ拡散を抑圧し、改善の果実だけをコミュニティから吸い上げたい

多くの日本企業製品OSS化に踏み切れないのは、正に上記の一点に尽きる。

「うちのソース勝手に儲けるな、だが改善だけはしろ暇人プログラマども」

というのがエンタープライズエグゼグティブ様の本音であることを考えると、DeNAスタイルライセンスは、日本企業の欲望を満たす厚顔無恥ジャパニーズスタイルライセンスとして社畜下請けの皆様の献身を一身に集めたであろう。仕事のない下請けソフトハウスが、DeNAスタイルライセンスの大手SIer謹製フレームワーク必死カイゼンしてコネ作りに励む美しい光景が、数年後には見られたかも知れない。

DeNAスタイルライセンスの隆盛が、日本IT企業利益を齎したかもしれないのに。DeNAスタイルライセンスが、日本IT企業を更に強固にガラパゴス化して守る鉄壁のゾウガメの甲羅になれたかもしれないのに。「Googleっぽいからいいよね」みたいなノリでMITライセンスに安易に逃げたDeNAの及び腰が残念でなりませんでした。まる。

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