2011-10-06

弟が殺された

仕事で県外に一人暮らし俺の元に実家から電話があった。

「○○が死んだ」

聞いた瞬間頭が真っ白になった。

アガリ症で人前で話すだけでも頭に真っ白になることはあったが

そんなレベルではなく本当に何も考えられない。

何も聞こえない。

そんな感覚だった。

〇〇は俺の弟だ。

死因は窒息死。

自分の部屋のベッドに括りつけたヒモに首を吊っていた。

弟は中学の終わりから心を病んでいた。

原因はイジメにあっていた。

イジメをしている奴の命令で万引きをさせられ

警察の厄介になった。

そして親父にこっぴどく叱られた。

いや、叱るというものではない、感情任せに怒っていた。

なぜやったかも聞かない。

ただただ怒鳴り、責め上げ、殴る。

そんなこともあり、弟は塞ぎこむようになっていったため、

高校に上がってもイジメられることになる。

そして高校を中退した。

その頃から人前に出ると恐怖を感じる対人恐怖症になった。

そのため、早朝に人目につくことのない新聞配達をするようになった。

新聞配達だけじゃ稼げないので、フォークリフト免許を取って

工場仕事に行くようにもなったが、

派遣では扱いが酷かったらしく、すぐに辞めて新聞配達に戻ってしまったが

ちゃんと生きようとはしていたんだと今は思う。

そして一昨年の暮れにずっと続けていた新聞配達を辞めた。

理由は人のいない家に新聞を入れ続けていたのに責任を感じたと言っていたが

思えばその時にもう覚悟を決めていたのかもしれない。

その2カ月後に弟はこの家からだっていった。

二度と帰って来ない。

それから数ヵ月後、皮肉にも会社の都合で実家から通わされることになり

俺は実家に帰ってきた。

早く帰ってきていればという思いもあったが、

それ以上に酷い実家の実状を知ることになる。

「○○の部屋からテレビ持ってきて繋いで。地デジ対応やろ?」

からしたら死んだ弟の遺品を使うことなど考えられなかったが、

親も立ち治ろうとしているのだろうと思ったのでテレビ居間に移動した。

それから親と食事をしていて気付いた。

以前はたまにしか帰って来なかったからわからなかったが、

親父はネガティブなことしかいわない。

テレビを見てても

「こんなん絶対うもないわ」

「こんなもん家でも作れるやろう」

人と話していても否定しかしない。

人が買ったものに対していちゃもんを付ける。

「そんなもん買ってなんになる?あ?」

姉の旦那にも

「お前が家を買う?ちゃんと金払えるんか?ムリやで、

俺が孫の面倒みらんといかんな」

と否定しかできない。

笑顔なんかない。眉間にしわしか寄せない。

そんな親父だ。

いつもいると気が滅入ってくる。

病んでいた弟ならなおのことキツイだろう。

俺なら仕事が終わればすぐにでも一人暮らしに戻れる。

しかし弟は外に遊びにもいけない、一人暮らしする金もない。

家を出ていく手段は死しかない。

俺を頼って来てくれても良かったけど、

俺ら兄弟相談するということができない。

子供の頃から親に相談すれば全部自分が悪いと怒鳴られ殴られていたからだ。

もう何もかも親父が弟を殺したようにしか思えない。

中学時代の暴力自分勝手な行動。

弟が新聞配達を辞める直前にも、パソコンが欲しいからという理由で

弟の車を売っぱらった。

プリペイドから月額の携帯に変えたいけど機種代がもったいないからという理由で

弟が生前使っていた携帯を使って契約した。

親戚が家に集まったときにも、親父の兄さんが甥っ子を連れてきていて

テレビを近くで見ていた時に

「うちの孫やったらボテくらして(ボコボコにする)躾ける」

かいう始末。

弟がなぜ死んだかなんてこれっぽっちも考えていない。

コイツが死ねばみんな幸せになれたのに。

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