政治に民意が反映されていないとして長らく選挙制度改革や利権構造の問題などがメディアで取りざたされてきましたが、実際には選挙制度が変わっても利権や圧力団体をいくら叩いても「民意が反映」されるようになるどころか政治がますます民意から離れていくだけでした。
「圧力団体」「利権」とは言いますが、「選挙」と絡み合ったこれらの動きは実は「政治」に最大公約数的な民意を反映させる仕組みでもあり、こうした構造の上に日本の政治では長期にわたる安定した政権と安定した成長が保たれてきました。
選挙制度改革も、結局、従来の支持基盤を分断・破壊し、政治に有権者の声が届きにくい構造へと変わっているのが実情です。
マスメディアがやってきたことは現実には「民意」の分断と「体制」の破壊であったと言えます。
マスコミ業界には元々「インテリゲンチャ=体制・権力の分け前にあずかれなかった知識階級」が多く、そのため必然的に反体制的な性格をおびてきます。
さらに大衆の人的ネットワークを破壊し、メディアがそれに取って代わることはマスコミの「利益」にも合致したために、この破壊活動は長く、執拗に続けられてきました。
その結果が55年体制の崩壊・そして史上希に見る無能政権などの政治の混乱であると言えます。
マスメディアに悪意がある黒幕が存在するわけではないかも知れない…
しかしながらその出自からして「反体制的」であり、かつ「大衆」と「政治」を結ぶ人的ネットワークを破壊し、世論への影響力を強めることは「マスコミの利益」でもあるため、マスコミの持つ本質的な性質が有害に作用しているというのが現在の状況と言えます。
近年、マスメディアによるインターネットへのネガティブな対応・攻撃姿勢の背景にも、マスコミの影響力を弱めるような新たな人的ネットワーク構築を阻むという、いわば「マスコミの本能」があると言えます。
これが「政治」と「民意」を本来は結びつける「メディア」の役割を弱体化させ、現在の政治の混乱を招いている元凶と考えられます。
諸外国ではネットとマスメディアの関係にも共存の傾向が見られますが、「ネットに対応できない世代」の方が多数派である日本においてはマスコミの徹底的なネットとの対立が存在しています。
…「メディア」の在り方を健全化し、人的ネットワークを再構築することが必要ではありますが、残念ながら日本ではその可能性は絶望的なようです。
前回から半年も経ったのか