2022-08-19

僕は打ち上げ花火が嫌いだ。 2

https://anond.hatelabo.jp/20220817003734

そのとき、姉さんのほうから僕にキスをしてくるんじゃないかって思った。

でも違った。

姉さんは僕の尻を軽くポンと叩き、「こら、そういうのは好きな子としなきゃ駄目だよ?」と諭すように言ってきた。

それから手で涙を拭い、笑みを見せると窓に目を移す。

打ち上げ花火の姿。ドンッと響く爆音

僕らは並んで、打ち上げ花火を観賞し続けた。

「綺麗だね」と姉さんが窓に目を向けながら、微笑んで言った。

から

僕は打ち上げ花火が嫌いだ。

夏休みが終わり、初日の登校日。

クラスでは例の詐欺師話題で持ちきりで、姦しいほどだった。

被害総額50万の詐欺師でも、田舎ではそれなりのニュースだったのかもしれない。

けれど僕は興味がなかった。

から外を見ていると後ろから

「よう、泡姫

クラスメイトに呼びかけられ、振り返る僕。にやけ顔を目にしたとき、気付けば相手を殴っていた。

クラスメイトは不意をつかれて吹き飛び、クラス悲鳴が上がった。

僕は自分行為に驚いた。

放課後、姉さんが呼ばれた。当然、向こうの親も。

その場には僕と担任先生しかいなかった。ガラガラと戸が開く音。僕は振り返らず、背中越しに聞いた。

担任は立ち上がって会釈するように軽く頭を下げ、僕は振り返らなかった。

足音がすぐに近付いてくる。

でも姉さんは僕の横に来るといの一番に「すみませんでした!!」と大きく頭を下げた。

深々と頭を下げ続けた。

僕はなにもできなかった。

廊下には殴ったクラスメイトが居た。

それに母親も。坂井なんとかっていう女優に似ていた。黒っぽいワンピースのような服を着ていて、何かの帰りに見えた。

姉さんは二人にも深々と頭を下げ、僕はそれでも頭を下げたなかった。

母親と息子は、僕たちを無視するように中に入っていった。

僕はまだ、怒りが収まりきれてなかった。

時間は止まったかのように感じれらた。

相手母親は姉さんに毒々しい目を向けた。

姉さんは深々と頭を下げ、僕の手を引いて廊下を歩こうとする。

僕はそれに従い、けれどこんな姿を誰かに見られなくもなかった。

すぐに手を離し、姉さんは困惑した表情を見せた。

それから僕と姉さんは学校を出るまで一メールぐらいの距離を隔てて歩いた。

帰り道、「もうこんな時間だし…晩御飯ファミレスで食べてく?」と姉さんが言う。

僕は拒否した。迷惑を掛けたのに、さら無駄遣いさせるのは忍びなかったから。

から「いいよ、そんなの」と断ると、姉さんは「あっ」と言った。

「そうそう。私、用事あるから先に帰ってるね」

用事があるから先に帰ってる。

普通なら”用事があるから先に帰っていて”だろう。

でも違う。けど正しい。

その意味を、僕は理解していた。

姉さんはお店の客を自宅で相手することもあった。

そういうときはいつも、姉さんは僕にお小遣いをくれる。

僕はそのお金ゲーセンカラオケ、たまに漫画喫茶へと足を向け、時間をつぶした。

今日もそうなのだろう、と僕は思った。

それからお金いくらかもらって姉さんと別れると、僕はゲーセンに向かった。

2時間ぐらい、時間をつぶしてから帰ると家の近所からカレーのにおいが流れてきた。

物心いたころには”家族団らんでカレーを食べた”なんていう記憶はない。

にも関わらず、そのにおいは僕の哀愁を刺激した。

からカレーのにおいに感じる哀愁はきっと本能的なものだ。

家に入ると「あ、おかえり」と姉さん。

それからカレーライスをテーブルに持ってくる。

「えっ?」と僕。微笑む姉さん。

姉さんは、そういう人なのだ

からこそ

省略されました。全てを読むにはわっふるわっふると書き込んでください。

記事への反応 -
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    • うんこ

    • 途中までよかったのにキスした時点で読む気がなくなってしまった…

    • わっふるなつかしいな、もう十数年前の話だろ、素でわからない人達いそう。

    • わっふるわっふる

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